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ストーリーをビジネスで活かすヒント。【4つのポイント】

昔から、人間社会ではストーリーを共有することによって社会を発展させてきました。

それほどに、ストーリーのもつ力は大きなものです。

それをビジネスでも活かすヒントを紹介します。

ストーリーをビジネスで活かすヒント。

ポイントは4つあります。

1. 伝えるためのストーリーを探す。

2. 学んだストーリーを忘れないように記憶する。

3. そのストーリーをシェアする。

4. レパートリーのストーリーを、状況に応じて新陳代謝する。

当たり前のように聞こえるでしょうが、ストーリーこそ重要だということ、そして、日頃からストーリーを探し続けるという視点が欠かせません。

これら4つのポイントは、英語圏でヒットした「Putting Stories to Work: Mastering Business Storytelling (仕事でストーリーを活用する方法:ビジネスストーリーテリングをマスターする)」という本で紹介されているものです。

1では、常日頃から、身の回りでストーリーを探すことが、はじめの一歩だと言います。

自分が実際に経験したことでも良いし、メディアで学んだこと、他人から聞いたことでも構いません。

記憶に残り、教訓を得られるようなストーリーを自分のレパートリーとして蓄えるのです。

2・3では、そのストーリーを自分のものにできるよう、何度も何度も他の人に話し伝えることが推奨されています。

実際に話すことによって、自分自身の記憶にも残りやすくなるからです。

また4点目として、何度も言い古されたものを見直すなど、状況に応じてレパートリーを新陳代謝させていくことも大切とのことです。

ビジネスでストーリーを活用する例

この本の中には、数多くのストーリー例が紹介されていましたが、以下はその中の一つです。

この著者がコンサルティングをしていた、ある企業CEOとの会話にて。

そのCEO曰く、

「社内の各部門のベストプラクティス (成功例) を文書にまとめ、マニュアル化し、それを全部門で共有したい。そうすれば、部門間のコミュニケーションは良くなり、業績も上がるはず。」

とのこと。

これを諌めるために著者が伝えたストーリー。

「それは考え直した方が良いかもしれません。

2001年9.11の事件が起きた直後、アメリカ連邦航空局は急いで航空機5000機を発動させる必要に迫られました。

しかし、そのような前代未聞の事態に対応できるようなマニュアルなど存在していません。

そこで力を発揮したのが、現場のリーダーたち。

異なる基地間において、迅速かつ的確なコミュニケーションをとり、あっという間に必要数の航空機を現場に集めたのです。」

「このストーリーから学べる教訓とは、マニュアルの大事さではありません。

本当に学ぶべきことは、組織や国が掲げるミッションや目的が明確に共有されており、日頃から横のつながりが有り、メンバーたちが信頼の絆で結ばれていることが大事だということです。」

このように、ただ意見を述べるのではなく、そこに具体的なストーリーを持ち込むことによって、納得性を大きく高めることに成功しています。

これこそが、ストーリーのもつ力。

ストーリーは、政治でもどこでも活用できる

来る今年11月の大統領選挙を控え、先日、指名候補者を選出するためにフィラデルフィアで民主党全国大会が開かれました。

先立って全国大会を開催した共和党に対抗するため、民主党も全党一致の力強いイメージを打ち出したいところ。

しかし、それまで複数候補者で争ってきた中、いまさら候補者を一人に絞ろうとしても一筋縄にはいきません。

ヒラリー・クリントンが選出されるべきであるとの大方の予想はあったものの、対するバーニー・サンダースに対する熱烈な支持者の勢いは当日になっても収まることがありませんでした。

ヒラリー支持を表明するバーニー本人に対しては支持者から不満を表すブーイングが飛び、「Still Sanders (今でもサンダースを支持する)」というプラカードを掲げる姿も多くメディアに映し出されていました。

これでは、民主党内部で歩調がバラバラになり、先の共和党全国大会で指名を勝ち取った、ドナルド・トランプ共和党候補の勢いにのまれてしまうかもしれない。

民主党支持者たちの不安な気持ちがメディア越しに伝わってくるようでした。

ミシェル・オバマ氏の素晴らしいストーリーテリングを紹介

4日間にわたって行われた全国大会で、何人もの議員・著名人が応援演説を行いました。

みんな、なんとか民主党を一つの方向に向かわせようと、民主党の掲げる政策の素晴らしさや共和党の批判など、様々な角度からスピーチが繰り広げられました。

それでも、民主党支持者間の混乱は収まる気配がありません。

その中、グラグラっと空気を一気に変えた瞬間がありました。

それが、現ファーストレディー、ミシェル・オバマ氏によるスピーチでした。

たった14分間のスピーチで、全米の心をつかみ、感動を呼び起こし、気持ちを一つにさせたのは、「子供・次世代」をテーマにミシェルが伝えた、シンプルなストーリーだったと思います。

 

 

「ちょうど同じ場所でオバマ大統領候補を支持するためのスピーチを行ったのは、8年前のこと。

大統領就任とともにホワイトハウスに移り住んだとき、2人の可愛い愛娘の姿もメディアに多く取り上げられました。

今では2人ともすっかり成長し、大人びてきました。」

「その昔、黒人奴隷の手によって作られたホワイトハウスで、今こうして自分たち家族が住み、2人の娘が犬と無邪気に戯れている姿を見ると、感慨深いものがこみ上げてきます。

その過程には先人たちが苦悩の連続とともに築いた礎があり、いつだって希望を捨てずに前進するアメリカという国だからこそ成し得たものです。」

「11月の選挙で投票に行く時、考えて欲しいことがあります。

民主党か共和党か、右派か左派かといった区分けで考えることではありません。

私たちが考えるべきは、次の8年間、自分たちの子供たちや次世代を預けられる大統領とは、誰であるのか?本当に信頼できる大統領とは、いったい誰であるのか?ということを考えなければいけません。」

「私はヒラリーを支持します。

なぜなら、彼女はこれまで長い間ずっと、子供たちや次世代を支援する活動を積極的に行ってきた実績があるからです。

その実績を知っているからこそ、信頼でき、子供たちや次世代を託すことができるのです。

そして、女性でも大統領になれる。

そのような、希望のあふれる国を子供たちや次世代に残してあげたいのです。」

 

ぼくはこのライブ中継をソーシャルメディアを通して見ていましたが、感動を伝えるコメントであふれかえり、直後から各メディアが、このスピーチの話題で持ちきりでした。

そして民主党や支持者・世論が全体でヒラリーを指名候補とすることに成功し、大きなうねりを生み出したのです。

このように、ストーリーのもつ力とは、とても偉大なものです。

人間は古来より、口伝えで大事な情報を継承し、生存・繁栄を続けてきました。

ビジネスにおいても、昨今のソーシャルネットワークによって証明されているように、口コミは大きな影響力を持ち、そこには必ずストーリーが媒体となって存在し、重要な情報を伝達しています。