アメリカ駐在のメリットデメリット【アメリカ在住10年の経験から】
“アメリカ駐在に憧れています。ただ、実際に暮らして働いてみると、予想していなかったようなことがありそうですね。メリットとデメリットについて、経験談を聞かせてください。”
こんにちは、テツです。こういった質問に答えます。
たしかにアメリカ駐在と聞くと、華やかなイメージがありますよね。
実際に、アメリカはとても暮らしやすいだけでなく、世界一のビジネスを誇りますので、仕事でキャリアを積んでいくためにも、最高の経験ができます。
その一方で、日本の感覚からは思いもよらない大変さもあります。
アメリカ駐在のメリットとデメリット、両面を紹介しますので、参考にしてください。
本記事のポイント
・アメリカ駐在のメリット5つ
・アメリカ駐在のデメリット5つ
・家族やパートナーと一緒に話し合うべきポイント
ぼくは10年間をアメリカで過ごしましたが、最初のきっかけは企業から派遣された駐在員としてでした。
駐在期間中は、これでもかというほどに充実した日々を送りましたが、仕事がキツくて精神的に参ってしまう時もありました。
他の駐在員家族を見ていても、楽しみ方や苦労は多種多様。
そんな駐在員生活の様子について、少しでもお伝えできればと思います。
アメリカ駐在のメリット5つ
アメリカ駐在には、さまざまなメリットがあります。
思う存分に味わい尽くして帰国する駐在員たちも多く、そのメリットは数知れないほど。
それらの中で5つ、紹介します。
英語を上達させるには最高の環境
まずはなんといっても、アメリカ駐在は英語を上達させる最高の環境です。
仕事はもちろん、私生活や遊びにおいても、さまざまな言い回しの英語が身につきます。
もちろん、ただ住んでいるだけで英語が身につくことはありません。
しかし、職場の同僚との会話、飲食店や買い物での会話、旅先での会話などから、「生きた英語」を学ぶことができます。
「なぜ日本の英語教育では、生きた英語を教わらないんだろう?」と不思議に感じてしまうくらいに、本物の英語が身につくチャンスにあふれています。
英語ができると世界が広がります。
仕事でも遊びでも、視野と活動の幅を広げてくれ、日々の生活の充実度が何倍にも上がります。
ビジネススキルやキャリアを磨ける
海外駐在員として働くと、日本で働いていた時以上の役割と権限を与えてもらえます。
難しい仕事はどうしても日本人駐在員に降りかかってくるのですが、そういった経験こそが、スキルやキャリアを磨く絶好のチャンス。
また、数少ない日本人駐在員の一人として働いていると、会社全体のことがよく見渡せるようになります。
日本で働いていたときには大きな組織の中の一人として働いていただけであっても、駐在先で組織全体のことが見渡せるようになると、一気に仕事に対する理解が深まり、あなたのスキルも上がります。
そういった経験をもとに帰国すれば、転職市場での評価も確実に上がります。
もちろん、仕事は大変ですが、その分、待遇も上がりますよ。
会社によって福利厚生などさまざまですが、日本で得ていた手取り給与のだいたい1.5倍から2倍になったという方が一般的です。
子育てしやすく、家族暮らしに優しい生活
アメリカ駐在のメリットは、なんといっても、家族暮らしに優しく、子育てがしやすい点にあるでしょう。
もちろん単身でも大いに楽しめますが、家族がいる方は、アメリカ駐在に行かない選択肢なんてないでしょ!というくらいに、住みやすいです。
広い家、大きな車、そして巨大なショッピングモールなど、何から何までが便利です。
非常に合理的なアメリカ人たちが考え出した豊かな生活を満喫することができます。
特に子供に優しいお国柄ですので、街を歩いているだけで、みんな子供にニッコリ微笑みかけてきてくれます。
道や席を譲ってくれるのは当たり前で、行列に並ぶ必要がなければ、食事に行っても子供用のおもちゃを持ってきてくれるなど、至れり尽くせりです。
また当然ながら、医療水準も世界最高で、心配いりません。
大人が受診しても子供が受診しても、日本以上のサービスを受けられることがほとんどです。
好きなだけ旅行を堪能できる
アメリカは国土が広く、見所が山のようにありますので、好きなだけ旅行を堪能することができます。
大自然に恵まれた国立公園をめぐるドライブ旅行も楽しいですし、ニューヨークやロスアンゼルスといったパワーあふれる大都市を訪れても楽しいです。
ドラマや映画に出てきたロケ地をめぐっても、最高ですね。
ぼくの知り合いの駐在員家族は、毎年必ずカリブ海クルーズ旅行に行く人たち、フロリダの超巨大ディズニーランドを何日もかけて遊び尽くす人たちなど、さまざまでした。
また、アメリカ駐在員だけが知っている裏技として、海外旅行も見逃せません。
もし東海岸に住んでいる場合、ヨーロッパまではひとっ飛びです。
たとえばニューヨークからイギリスのロンドンまで約7時間。
フランスのパリも約7時間、イタリアのローマやドイツのミュンヘンは約8時間。
ヨーロッパであれば、どこでも短時間で行けます。
中南米であれば、さらに短時間で行けますし、時差なく遊び回ることができます。
ぼくもアメリカ駐在員のときには、休みがあるたびに海外旅行をして回っていました。
3日間でも休みがあれば、すぐに飛行機に乗っていたのです。
世界中の文化に触れられる
たとえ海外旅行に行かなくても、アメリカに住んでいるだけで、世界中の文化に触れることができます。
もともとが移民の国ですから、本当にさまざまなバックグラウンドの人たちが住んでいます。
食料品スーパーに行けば、アメリカのものに加えて、ヒスパニック系、アジア系、イスラム系、ユダヤ系など、ありとあらゆるものが並んでいて、スーパーの中を歩いているだけで世界一周しているような気分になります。
また、子供が地元の幼稚園や学校に行けば、そこでも多様性に恵まれた環境があります。
帰りのあいさつで、「今日はみんなで中国語でさようならを言いましょう。」とか「今日はみんなでスペイン語でさようならを言いましょう。」なんて状況も、日常茶飯事です。
場合によっては、隣人の家から夕飯時になるとスパイス臭が漂ってくるなんてこともありますので、身近で異文化体験を味わうことができます。
アメリカ駐在のデメリット5つ
アメリカ駐在のメリットは山ほどありますが、実はデメリットもありますので、しっかりと理解をしておきましょう。
ぼくが重要だと考えるものを5つ、紹介させていただきます。
四六時中、仕事に束縛される
駐在員の仕事はハードです。
文字通り、四六時中、仕事に束縛されますので、その点は覚悟しておいた方が良いでしょう。
日中はアメリカ現地の仕事、時差の関係から夜に日本の本社が出勤してきますので、夜中は日本対応をすることがほとんどです。
そういった場合、夜の電話会議にそなえて、定時後6~7時ごろに夕飯を食べて、それから仕事に戻る人も多くいます。
休日も気を緩めることはできません。
アメリカの日曜日はすでに日本の月曜日ですから、会議が入ることもあります。
また、何か問題が起きた場合には、あなたが最前線で走り回る必要があります。
日本の本社からは電話やメール越しに「どうなっているんだ!」なんてメッセージが飛んできたりもしますが、「そこまで言うなら、お前が来てやってみろ!」と言いたくなる気持ちをおさえつつ、冷静に解決にあたらなければいけません。
食事
これは向き不向きがありますが、ぼくが見てきた駐在員たちのほとんどが、地元の食事に音を上げていました。
アメリカの食事といえば、ハンバーガーやステーキなどが有名で、日本では食べられないくらいに美味しいです。
しかしそういったものは、ずっと食べていると飽きてしまうんですよね。
すると、材料を買いそろえて日本食を自炊する必要があります。
だいたいの食材はそろっているものの、それでもみんな工夫が必要なくらい大変なことです。
ニューヨークやロスアンゼルスといった大都市であれば、大型の日本食スーパーが充実しています。
アメリカの地方都市で駐在している人たちは、連休になると大都市に出かけていって、日本食レストランをめぐり、日本食スーパーで買いだめをして帰ってくるというパターンが少なくありません。
かくいうぼくだって、比較的アメリカの食事は好きな方ですが、たまに片道4時間かけてドライブし、吉野家の冷凍牛丼パックを買いに出かけていました。
その牛丼パック、一食分が4ドルくらい(400円以上)していました。
当時の値段なので今はいくらか分かりませんが、牛丼並盛りの牛肉だけの部分にかける熱意、伝わりますでしょうか?
それほど、日本食が恋しくなりますし、手に入れることが難しかったです。
人間関係
アメリカで駐在をしていると、人間関係に悩まされることがあります。
まず、駐在員として働いている人たちは、「日本以上に日本カルチャーが蔓延する」リスクに気をつけましょう。
どうしても日本人が少ないので、日本語で話し合える相手として、お昼ご飯も夕飯も、休日のゴルフも、ずーーっと、日本人同士で過ごしている人たちがいます。
ぼくは早々にそこから抜け出しましたが、せっかくのアメリカ生活なのに、日本と変わらなかったなんてことがありますので、気をつけましょう。
次に、悪名高い「駐妻会」があります。
最近では「駐妻」ならぬ「駐夫」が増えてきているようで、非常に良いことと思います。
ただし、そういった駐在員のパートナーとしてアメリカに来た人たちが集まることは素晴らしいことなのですが、どうしても、そこで序列を作ったり、マウンティングを始めたりする人たちが出てきます。
ぼくは単身での駐在でしたが、そういう様子は嫌というほどに目にしました。
まただからといって、パートナーが外に出ないこともリスクになります。
慣れない英語を嫌って外出せず、日本人会にも参加せず、自宅にこもってばかりいると、精神的に参ってしまうことがあります。
パートナーの方が自宅にこもっていることが耐えられなくなり、駐在期間をまっとうできずに日本に帰宅した方もいました。
帰任時に仕事や生活の落差に落ち込む
アメリカ駐在自体に問題があるわけではないのですが、仕事は充実し、生活環境は豊かで、遊びもさまざまとなると、日本に帰国した時に大きなギャップを感じます。
まず仕事面においては、元の大きな組織の一部に戻ることになります。
生活面でも、大きく広い家での生活から、日本の狭い住環境に戻る時に、抵抗を感じるものです。
このように、帰任時に仕事や生活の落差に落ち込むことがあるということも、認識しておきましょう。
常に危険と隣り合わせ
最後は、アメリカ生活ならではの危険性についてです。
アメリカが銃社会であることもさることながら、日本に比べて格差が大きいため、年がら年中、そこかしこで犯罪が発生しています。
どのような都市に住んでも、必ずそこには富裕層が住むエリアと貧困層が住むエリアに分かれています。
貧困層が住むエリアは、「ゲトー」や「インナーシティー」と呼ばれています。
ぼくも間違えて足を踏み入れてしまったことがありますが、そこは日本の感覚では想像もできないくらいに別世界です。
映画やドラマに出てくることもないくらいに、アメリカのダークな側面が存在します。
駐在員の中には、道ばたでホールドアップ(銃をかざして金銭を要求される)に会った方や、家が泥棒に入られた方、車上荒らしにあった方もいます。
地元の常識やルールが分かるようになるまで、常に用心をしながら暮らしていくことが必要です。
家族やパートナーと一緒に話し合うべきポイント
このようにアメリカ駐在にはメリットもデメリットもあります。
単身であれば、とりあえず飛び込むことをおすすめしますが、家族やパートナーがいる場合、慎重に決断すべきでしょう。
その際、話し合うべきポイントを紹介しますので、参考にしてください。
人生で一度あるかないかの海外生活をしてみたいか?
いくら豊かなアメリカ生活といえども、デメリットもあります。
想像していなかったようなアクシデントが発生することもあります。
そんな時に心の支えになってくれるのは、「海外に住んでみたい!」という純粋な気持ちです。
海外生活にあこがれる気持ち、海外旅行などの異文化体験を楽しめる気持ちがあれば、思い切って飛び込んでしまいましょう。
ただ、海外旅行ですら興味がないような人であれば、思いとどまることも一案ですので、慎重に決断してください。
子どもに海外生活を経験させたいか?
子供がいるご家族には、アメリカ駐在を本当におすすめします。
アメリカ社会は、至るところで子供を大切にします。
たとえば、子供を学校に送り迎えする黄色いスクールバスが停車している時、それを車で追い越してはいけないという交通ルールがあります。
なぜなら、いつスクールバスから降りてきた子供が飛び出してくるか分からないからです。
あなたが間違えて、停車中のスクールバスを追い越そうものなら、地域住民たちが飛び出してきて、大説教を食らうことになるでしょう。
それほど、アメリカ社会は子供のことを大切にしますので、あなたのお子さんも大切に扱ってもらえること間違いなしです。
学校に通うような年齢であれば、すぐに英語がネイティブレベルになるでしょうし、日本では不可能な経験もできます。
パートナー側が自立して生活や行動をできるか?
家族がいる方にとって、アメリカ駐在は良いことづくめです。
ただ、ひとつだけ条件があります。
それは、駐在員のパートナーの方が自立できることです。
自立といっても難しいことではなく、一人で運転して買い物に行けることだとか、子供を病院に連れていくことができるだとか、その程度のことです。
子供だけでなく、パートナーの面倒も見なければならない状況では、本業の仕事に打ち込むことなんてできません。
そういう意味でも、慣れない海外での生活において、パートナー同士での支え合いが必要不可欠です。
アメリカ生活では本当にいろいろなことが起きますので、いざという時に一緒に乗り越えていけるよう、お互いが自立していることが必要です。
【まとめ】アメリカ駐在のメリットとデメリット
本記事では、アメリカ駐在のメリットとデメリットを紹介しました。
いろいろと書きましたが、総じてぼくは、アメリカ駐在の機会があるならば、万人におすすめします。
アメリカ駐在を打診されるような人は、そこで成功できる可能性をすでに認められているわけですから、あとは飛び込んでみたら良いでしょう。
充実した楽しい毎日を過ごすことができますよ。
ぼくの周りでも、「楽しすぎて日本に帰りたくない!」という人たちが数多くいました。
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楽しいアメリカ駐在も、たまには疲れてしまう時があります。そんな時には無理をせず、日本を感じられる時間をもってリラックスしましょう。