アートディレクター・クリエイティブディレクターの仕事
”ドリルを買う人は、「ドリル」が欲しいのではなく「穴」が欲しいのだ。People don’t want to buy a quarter-inch drill. They want a quarter-inch hole.”
これはHarvard Business Schoolの元Marketing教授、Theodore Levitt氏の発したものです。
ビジネス人として、いつ触れてもうならされる、含蓄に富んだ言葉。
こういった本質をつく考えには、実はアートやクリエイティブといったスキルが参考になることを知りました。
その中、仲間からのすすめに導かれて佐藤可士和氏や水野学氏の仕事内容を学ぶ機会を得ました。
アートディレクター・クリエイティブディレクターの仕事
彼らはアートディレクターまたはクリエイティブディレクターと呼ばれており、ブランドや広告といった分類を超越し、個人・法人の区分にとらわれないあらゆる事象の価値を総合的に向上させることを仕事としています。
何が何だかよく分からないような言い方ですが、その活動分野は多岐に渡ります。
ぼくは彼らの名前もそういった職業の存在も知りませんでしたが、彼らの仕事が自分たちの生活に少なからず影響を与えていることを今になって知りました。
佐藤さんは、ユニクロのブランディングで有名です。
対して水野さんは、ゆるキャラの「くまもん」をデザインした方です。
こう説明されれば、誰もがそのすごさを理解することでしょう。
佐藤氏や水野氏のお仕事
佐藤氏が率いる「サムライ」のポートフォリオ:http://kashiwasato.com/
水野氏が率いる「good design company」のポートフォリオ:http://gooddesigncompany.com/
これらのWebsiteから見て分かる通り、彼らはヒット連発のクリエイティブ集団です。
ユニクロの例に至っては、佐藤氏は2006年から彼らのグローバル展開戦略をプロデュースしています。
かの柳井社長をはじめ幹部面々、そして社内のキーメンバー達をとことんインタビューし、ユニクロに息づく価値観を理解し、それを言語化・可視化する。
対内外のコミュニケーションのみならず製品や店舗といった企業活動のあらゆる面で戦略立案し、実行を促す。
これは経営そのものですね。
彼らの実態をもっとよく知ろうと以下の本を読んだりインタビュー番組を見たりしたのですが、これまで知らないことばかりで驚きました。
自分が普段ビジネスとして携わっている仕事と、彼らが取り組んでいる仕事とがあまりに似ているからです。
しかも、これ以上無いくらいのハードワーカー及び勉強家、そしてオープンマインドと柔軟性を維持し続ける努力を重ねる姿勢も感じとれます。
正直、彼らであれば、自分の今の仕事も出来てしまうだろうと感じ、奮い立たされる思いがしました。
いわば冒頭で記載した「ドリル」のマーケティングのような、ものごとの本質をとらえる仕事こそ、彼らが得意とするところなのでしょう。
世界で活躍するクリエイティブディレクター
留学先ビジネススクールのプログラムの一部として教授やクラスメートと共にインドに行ったことがあります。
その時、現地企業を数多く訪問しましたが、その一つが「IndiGo」という現地の格安航空会社でした。
出身校の卒業生が幹部にいたこともあり、その機会を得たわけです。
当日はCEO自らが学生である我々に対して熱弁でプレゼンテーションをしてくれました。
IndiGoのビジネス【インドの最大手航空会社】
この会社は2006年創業の後発ながら「格安料金・定時発着・煩雑な手続き無し」を3本柱にシェアを伸ばし続けました。
フラッグ・キャリアのAir India(日本でいえばJAL)を一気に抜き去り、今ではインド国内トップです(2013年当時で国内シェア27% – IndiGo調査)。
その非常にシンプルなホームページからも分かる通り、必要以上なコストは一切かけません。
ただし、重点戦略の一つである「定時発着」を満たす為には、これでもかと惜しみなく投資をすると言っていました。
他にも、「社内会議に遅刻する社員がいるような会社に、定時発着のサービスを提供することは出来ない。」とか「今トップシェアにいるならば、2位以下は自分達より更に多くの努力をしていることを忘れるな。」など、幾多の金言が飛び交いました。
そのカリスマCEOや幹部達の姿が大変眩しかったです。
さて、ここまで書いていて何が言いたいかというと、実はこのIndiGo幹部層に助言をしていた人間を今日になって発見したのです。
John Jay氏というアメリカ人の方。
彼もまた、クリエイティブディレクターだったのです。
しかも、昔のユニクロのフリースブームもこの人の手によるものとのこと。
いやはや、アートやクリエイティブの力、実に恐るべしです。