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キューバ記録:キューバの近現代史 かんたんまとめ

1492年、クリストファー・コロンブスがサン・サルバドル島に上陸し、それがアメリカ大陸の発見につながったと言われています。

サン・サルバドル島の位置。Google Mapから

 

その後、スペイン人が次々と本国からやってきて、周辺の島々に上陸しては征服していきました。その一つが、キューバ。


他のラテンアメリカ諸国同様に、スペインの支配下におかれること約400年。1800年代後半から独立闘争が各地でおこりはじめ、スペインからの独立の契機となったのは、1898年の米西戦争です。アメリカが、キューバの宗主国であるスペインを戦争で打ち負かすのですが、なんと、スペイン人が出ていったあとは、アメリカ人に支配されることになってしまいます。


1898年から1902年までアメリカの軍政がしかれたあと、キューバは独立するのですが、アメリカは圧力を加え、1901年に採択されたキューバ憲法に修正条項を加え、アメリカの政治介入を認めさせたのです。


ようやくスペインから独立したと思ったら、こんどはアメリカの属国になってしまった、キューバ。その後、キューバ経済はアメリカ資本に牛耳られ、そのアメリカと懇意にするキューバの政治家と一部の富裕層のみが、甘い汁を独占することになります。


その結果、1950年代のキューバ革命前には、キューバの外国貿易の75%(!!)が、アメリカと行われていたといいます。主食の一つである米は、消費量の60%をアメリカから輸入しており、キューバ国内では栽培がゆるされなかったそう。さらには、キューバで大量生産されているサトウキビをアメリカが輸入することで、キューバはアメリカから外貨を稼げていたものの、なんとそのサトウキビはアメリカで白砂糖として精製されたのち、キューバが買い戻すことになっていたようです。キューバからの総輸出の8割が砂糖であったことから、いかにキューバという国全体が、そのスキームにはまっていたかが分かることでしょう。


これではキューバ人、はたらけどはたらけど、低賃金で酷使され、うまみはすべてアメリカにとられるのみ。技術を育てる機会すらうばわれてしまっていたように思います。



サトウキビを絞ると、甘い果汁がとれ、そこから砂糖が精製されます







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生活は苦しくなる一方。良くなるきざしも見えない。


キューバ政府は、キューバ国民の生活改善のことよりも、自分たちとアメリカの利益のことしか考えていない。キューバ国民は搾取され続けるのみ。


そこで、有志たちが革命のために立ち上がることになり、それがキューバ革命へとつながっていきます。


その立役者が、ご存知、フィデル・カストロ。1926年生まれ、2016年没。


ハバナ大学で法律を学ぶことと並行し、政治活動に傾倒。その後、1953年に有志とともに、サンチャゴ・デ・クーバ市のモンカダ兵営を襲撃します。兵営の襲撃に成功すれば、そこに収められている兵器をそっくりそのまま得ることができるからです。しかし、同時のバティスタ政権が率いる政府軍に敗れ、とらえられます。この時、フィデル・カストロ26歳、弟のラウル・カストロ22歳のとき。


とらえられたフィデル・カストロは、恩赦により約2年で釈放され、その後はメキシコに亡命します。そしてメキシコで、アルゼンチン人医師であるチェ・ゲバラと出会うのです。チェ・ゲバラとともに、軍備をすすめ、金策をまとめ、キューバにもどって革命を打ち立てる計画を着々と進めていきます。


そして1956年、苦心して手に入れた14人乗りのボート「グランマ号」に、合計82人(!!)で乗り込み、キューバに上陸します。当初はバティスタ軍に返り討ちに遭い、大打撃を受けるものの、シエラ・マエストラ山脈を拠点として政府軍へ2年余りのゲリラ闘争を行った末、1959年にバティスタを国外逃亡に追い込みました。


こうしてキューバ革命が成功するのです。



モンカダ兵営の襲撃跡

 

革命軍メンバー。左がフィデル・カストロ

 

革命時に着用されていた軍服と寝間着。血まみれ

 

右側は、チェ・ゲバラがかぶっていた帽子

 

バティスタ元・大統領の政務室

 

キューバ上陸に使われた、グランマ号

 

ラウル・カストロが使っていた、トヨタのジープ
ハバナ市内の革命博物館。当時の遺品の数々が展示されています。元は、大統領官邸。





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しかし、アメリカの傀儡政権であったバティスタ政府をたおされて、アメリカがだまっているわけがありません。アメリカから敵視される中、フィデル・カストロ率いる新政権は、キューバが生き延びるために、アメリカの敵対国であるソ連に接近することを決めます。1960年、共産主義の標榜を宣言し、ソ連との外交条約を結ぶにいたりました。そして、キューバ国内のアメリカ資本企業を、次々に国有化していきます。


フロリダから90マイル (約150km)、アメリカの喉元に位置するキューバが、敵対国であるソビエト陣営に入ってしまっては、アメリカにとってたまったものではありません。次々と経済制裁が加えられたのち、1961年1月、アメリカのアイゼンハワー大統領により、キューバとの国交断絶が宣言されます。そして、同月に就任したケネディ大統領が、その後の舵取りを担います。


その後、ケネディ大統領によって、キューバ新政権の転覆が試みられるのですが、その情報をソ連のスパイがつかみ、阻止されます。かねてより、ソ連と目と鼻の先であり、アメリカ陣営であるトルコに設置されている核ミサイルに頭を悩ませていたソ連は、逆にキューバに核ミサイルを設置し、アメリカを牽制することを思いつきます。こうして、1962年8月から9月にかけて、ソ連はキューバに核ミサイルを持ち込んだのです。


1962年10月16日、アメリカの戦略偵察機U2が、キューバに核ミサイルが持ち込まれていることを発見します。


アメリカ政府内でキューバへの即爆撃を主張する声が多く出る中、ケネディ大統領はそれら強硬論をおさえ、海上封鎖措置にとどめました。そして10月22日、ソ連側へ核ミサイルの撤去を求める声明を出します。

しかし、ソ連側はそれを聞き入れず、海軍の貨物船・潜水艦をキューバにし向け、緊張が高まります。それらがアメリカの海上封鎖をつかさどる船に接触しようものなら、一触即発、両国間に核ミサイルが飛び交っていたのです。それでも、ソ連船がキューバにギリギリ近づいたところで、引き返し、一触即発をまぬがれます。


ほっと一息ついたのもつかの間、ソ連から、トルコに配備された核ミサイルの撤去を求める親書につづき、10月27日、偵察機U2が撃ち落とされたというニュースがアメリカ政府に入り込みます。


再び緊張が高まる中、そのU2撃墜が自分の知らないところで勝手に指示されていたことを知った、ソ連のフルシチョフ書記長も、いよいよ焦ります。軍部が暴走する可能性があるからです。そこで、10月28日に核ミサイルの全面引き上げ声明を出し、実行します。


こうして13日間にわたり、アメリカとソ連との間で一触即発の緊張状態が生まれたものが、キューバ危機です。



撃ち落とされたU2のタービン

 

U2撃墜に使われた弾道ミサイル

 



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の後、フィデル・カストロをリーダーとする新政権がキューバの政務をつかさどってゆくのですが、肝心の経済政策がうまくいきません。ご存知の通り、キューバ経済は今でも目が当てられず、物資の不足にあえぐ日々。名目GDPは78,966百万ドル、アメリカ17兆9,470億ドルの0.4%相当。一人当たりGDPは6,920ドル、アメリカ55,837ドルの12%相当。(外務省データ参照:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cuba/data.html;  http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/data.html#section4)




2015年、オバマ大統領のリードにより、アメリカとキューバの国交が回復。この先、両国の交流が今以上に増えてくるものと見込まれています。ただ、キューバにアメリカ企業が再び入っていくことになれば、その実力であっという間に牛耳られること、間違いないと思います。




これからどうなるのか、キューバ!?






内務省ビルに描かれた、チェ・ゲバラ。キューバ革命の英雄。

 

フィデルの弟、ラウル・カストロは今でもここで政務をつかさどっています。











(参考文献)
「物語 ラテン・アメリカの歴史 未来の大陸 (中公新書)」 著:増田義郎
「キューバ紀行 (集英社文庫)」 著:堀田善衞
「キューバ危機 山崎雅弘 戦史ノート」 著: 山崎雅弘
「冒険者カストロ (集英社文庫)」 著:佐々木譲

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