英語を話すには、コンテンツ (内容) の理解も大事。元も子もないですが、割り切りが肝要です。
英語を話すには、コンテクスト (状況や関係) を理解することが大事であると、前回の投稿で書きました。
それと同じく重要なことが、コンテンツ、つまりは話の内容を理解することです。当たり前のように聞こえますが、そこの仕組みが分かると、ぐっと気持ちが楽になります。ここで、「ロジック立てて論理的な内容を話そう」などと言うつもりはありません。むしろ、元も子もないですが、「割り切るしかない」ということが、今回のメッセージです。
駐在のチャンスを得て 渡米したばかりのころ、同僚や客先の話す英語がサッパリ分からず、まったくもって仕事になりませんでした。当時は自分の英語能力の低さのせいにしていたのですが、今となって分かることがあります。あの時は、英語ではなく、「仕事そのものができなかった!」ということを。要するに、仕事そのものがよく分かっていなかったので、英語で話されようが、日本語で話されようが、どちらにしても理解ができていなかったということです。
ある時、そんなぼくのことを、同僚たちがランチに連れ出してくれました。行き先は、ファーストフードのハンバーガーショップ。オーダーを前にして、何やらワーワー話しています。やっぱり聞き取れなかったので、「何を話しているの?」と聞いてみることに。すると、「どこのハンバーガーショップが好きか、みんなで話しているんだよ。」とのこと。「松屋か吉野家か、お気に入りの牛丼屋について話しているみたいだな。」と思いましたが、その後の会話もよくよく聞いてみると、「トリプルなんとか」がどうのこうのと言っています。「トリプル」という単語は聞き取れたのですが、やっぱり理解ができない。「なんとか」の部分についてまた質問すると、「ベーコネーター」とのこと。なんのことだ?と思い、帰って調べてみると、
こんなの日本で見たことも聞いたこともありません。ぼくの趣味でもありません。そもそも、英語うんぬんではなく、「そんなものは知らない」ということなのです。
つまるところ、英語力の大半は、そもそも話されているコンテンツ・内容を知っているかどうか、で決まります。
逆に、どんなに文法がおかしかろうが、ただの単語の羅列だろうが、コンテンツ・内容をお互いに共有できれば、それで英語を介したコミュニケーションは成立するのです。
ぼくの場合は、駐在先での仕事内容が分かってくるのと合わせて職場での英語も分かってきましたし、留学先での勉強内容が分かってくるのと合わせて学校での英語も分かってきました。ただし、駐在先から一歩外に出ると、留学先から一歩外に出ると、話されているコンテンツ・内容が変わってくるので、一気に英語が分からなくなりました。買い物ですら不自由するようになるのです。言い換えると、使わない言葉は覚えない、ということでもあります。
というわけで、元も子もないですが、割り切りが肝要です。
やみくもに勉強をするのではなく、自分が使う目的やシチュエーションに合わせて勉強することがもっとも効率的です。ビジネスならばビジネス、アートならばアート、というように。そして、自分の専門領域の外の言葉であれば、「分からなくて当然」と構えていればいいのです。
もちろん、幅を広げて勉強することは素晴らしいことですが、「お〜、自分の英語が通じた!」という嬉しい瞬間がないと勉強が長続きしないですし、その嬉しさを得るためにはやっぱり、自分が普段から時間を費やしている専門や学問領域に沿って勉強を進めることが近道です。
これを逆から見ると、話す相手にとっても、コンテンツが大事だということ。つまり、こちらがどれだけ流暢な英語でビジネスについて語ったとしても、相手がビジネスについてチンプンカンプンであれば、自分の言葉はほとんど理解をしてもらえません。
よって、自分が興味ある分野に勉強する範囲をしぼり、時間やエネルギーなどのリソースをそこに集中させて練習すると、英語の能力は向上しやすくなりますし、使う場面も多いので嬉しく感じる場面も増え、モチベーションを保って練習を続けることができるというわけです。
英語を話すには、コンテンツも大事、という話でした。割り切りましょう。