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【例文紹介】エレベーターピッチが転職活動に役立つ理由と実践方法

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“自己アピールをする方法のひとつとして、エレベーターピッチというものがあることを知りました。本当に効果がありますか?その場合、具体的にどうやって準備して実践すれば良いか、教えてください。”

「エレベーターピッチ」という言葉を聞いたことがない方もいることと思いますが、元は英語でElevator Pitch (エレベーターピッチ) と書きます。

文字通り、エレベーターに乗り合わせた短時間で、相手に自己アピールをするというものです。

ビジネスのプレゼンテーションでもよく使われるものですが、転職活動にこそ、絶大な効果を発揮します。

あなたもぜひ、その内容や準備方法を理解いただき、転職活動に役立ててください。

 

本記事のポイント

・エレベーターピッチが転職活動に役立つ理由

・エレベーターピッチの実践方法

・転職活動で使うエレベーターピッチの例文紹介

 

ぼくがこのエレベーターピッチという言葉をはじめて聞いたのは、アメリカMBA留学中に、コミュニケーションの授業で教授から聞いたときでした。

「プレゼンテーションはもちろんのこと、就職活動・転職活動、募金集め、いろんな場面で役立つから、よく練習して身につけるように!」と言われ、クラスメートたちと一緒になって練習しました。

ぼくは今でこそ外資系企業の経営者という立場についていますが、振り返るとたしかに、転職活動で使いましたし、ビジネス上でのプレゼンテーションでも使いました。

今でも勤め先の本社幹部と話すとき、重要顧客と話すとき、とっさにエレベーターピッチを使って相手の興味をひく努力をしています。

エレベーターピッチが転職活動に役立つ理由

ぼく自身、今もビジネスで頻繁にエレベーターピッチを使っていますが、これが転職活動に役立つ理由を説明します。

相手に自分の思いを短い時間で端的に伝えることができる

まず絶対に忘れてはいけないのは、相手は忙しいということ。

あなたの話をダラダラと聞いている余裕はありません。あなたが長々と話していると、それだけで嫌がられる可能性だってあります。

ですから、あなたは相手に短時間で話を伝える必要があるというわけです。

その点、このエレベーターピッチは20~30秒ほどでメッセージを伝えることができる方法ですので、相手の時間をムダにすることはありません。

しかも、短時間という制約があるおかげで、あなたがもっとも伝えたい重要ポイントだけを相手の頭の中にインプットすることになりますので、メッセージを伝えるという点で非常に効果的なアプローチであるというわけです。

自己分析と志望動機のつくり込みに役立つ

20~30秒程度で自己アピールや伝えたいメッセージを話すということは、話すポイントを厳選し、且つそのストーリーやロジックがスムーズに流れるよう考えぬく必要があります。

「いやぁ、全部重要で、伝えたいことがたくさんある。あれもこれも話していたら、20秒や30秒なんかじゃ足りないよ!」と悩む気持ちも分かります。

ですが、「あ〜、あれも伝えなきゃ、これも伝えなきゃ。」だなんてモゾモゾしているうちに、相手の階に到着して、エレベーターを降りていってしまいます。

とはいっても、肩に力を入れて固くなる必要はありません。

自分が伝えたいことは何なのか?それによって果たしたい目的は何か?話を聞いた相手にはどのように感じて欲しいか?

こういったことを考えめぐらせ、突きつめていくと、自己分析がすすみますし、結果的に志望動機のつくり込みにも役立ちます。

自分の頭の中のモヤモヤとした思いや考えを整理するためにも、エレベーターピッチをつくり込むプロセスそのものが役に立つのです。

転職活動の準備目標のひとつにできる

何ヶ月にもわたって転職活動を進めていると、何を目標に準備を進めていけば良いか迷ってしまうことがあります。

最初から目当ての会社に応募をして面接を受けに行ったところで、ろくに質疑応答の練習をしていなければ良い結果はなかなか出ないでしょう。

だからこそ準備が必要なわけですが、逆に準備ばかりをしていても疲れてきてしまいます。

そのようなとき、「エレベーターピッチのスタイルで志望動機を話せるようになる」といったことを目標のひとつとして掲げると、分かりやすい目標となり、やりぬくモチベーションになります。

もちろん、それ以外にもさまざまな質疑応答パターンを練習する必要がありますが、エレベーターピッチができるということは、その過程で自己分析や志望動機を考えぬいた証であり、自信もつくでしょう。

 

エレベーターピッチの実践方法

エレベーターピッチが役立つ理由が分かったところで、その実践方法を解説しましょう。

エレベーターピッチの作り方

エレベーターピッチにはさまざまなバリエーションがありますが、まずは以下の基本パターンからはじめてみてください。

エレベーターピッチの基本パターン

(1) 自分の名前

(2) 所属組織

(3) 今は何をしているか

(4) これから何をしたいか

(5) その為に相手から欲しいサポート(具体的に)

(6) そして、それがその相手にとってなぜメリットが有るか

たとえば、興味がある会社の説明会で、「もっと内部の話を聞かせて欲しいから誰か社員の方を紹介してもらえないか?」と、人事担当者にお願いすることを考えてみましょう。

「(1)はじめまして、ハナコです。(2)(3)今はXX業界で営業をしていますが、(4)御社のように今後ますます成長が見込まれるYY業界に興味があります。(5)御社ホームページや発行誌もくまなく読みましたが、具体的にZZの分野で現場レベルのやりがいや難しさを学ばせていただきたく、どなたか社員の方を紹介いただけないでしょうか?」

これをサーっと話して、約20秒です。

転職活動という、自分が仕事を求める場面で、「(6)相手にとってのメリット」を考えることは難しいですが、人事担当者にとっては「優秀で努力をいとわない社員を採用する」ことがメリットですので、これで問題ありません。

ちなみに一般的な営業活動に使うエレベーターピッチであれば、「(6)御社のコスト削減のため、(5)弊社サービスを活用しませんか?」や「(6)御社への新規顧客流入を増やせると思いますので、(5)ホームページの更新を任せていただけませんか?」などと話すことができます。

こうすると、「(6)相手にとってのメリット」を入れることの大切さが分かりやすいですね。必ず相手にとってのメリットを意識するようにしましょう。

 

エレベーターピッチの注意点

エレベーターピッチの作り方で説明した通り、必ず「(6)相手にとってのメリット」を意識して使ってください。

逆に言うと、相手にとってのメリットを考えず、自己アピールだけをしてしまうと「この人は自分の都合ばかり押しつけて自分勝手だ。」と思われてしまうリスクがあるためです。

転職活動の場合のエレベーターピッチでは、必ずしも「入社させてください!」と言葉にする必要はありません。

エレベーターピッチはあくまで相手とのコミュニケーションの冒頭に使うものですし、まだろくに話していない相手から「入社させてください!」だなんて熱意を押しつけられても困ってしまいます。

そういったことは、面接本番の最後までとっておきましょう。

エレベーターピッチで輝く熱意の見せ方

「でも、ただ自己紹介をしたり、何かお願いするだけでは相手の関心をひくことはできないんじゃないの?」

こう思ったあなたはすばらしいです!

はい、エレベーターピッチにはエレベーターピッチなりの熱意の見せ方があります。

たとえば、会社に対するリサーチを入念にしてきたことをさりげなく伝えるのです。他にも、すでに会社説明会へ参加したこと、現役社員から聞き込みをしたことなどを伝えましょう。

つまり、これまですでに行ってきた努力をさりげなく伝えることで、あなたの本気度が伝わります。

「御社が本命です!」と口ではアツっぽく語られても、「それであなたは弊社について、どれだけ知っていますか?」と質問するだけで、その人の化けの皮がはがれるのです。

ですから、かしこいあなたは事前に入念なリサーチや準備をしておき、エレベーターピッチでそれらをさりげなく織り交ぜ、間接的にアピールをしましょう。

エレベーターピッチのパターン

面接本番ではない時

面接本番ではない時であれば、あからさまな自己アピールを言葉にしない方が無難です。

考えられるパターンとしては、すでに例を出したような会社説明会に参加した時、偶然にもエレベーターや廊下で採用担当者と出会った時、会食に参加した時などです。

こういう時は、まず相手の方に好印象をもってもらい、自分のことを記憶に残してもらうことを目標として、間接的な自己アピールを織り交ぜると効果的です。

面接本番の時

面接本番の時であれば、冒頭でエレベーターピッチを使うことがおすすめです。

相手から「自己紹介をどうぞ。」と言われるまでガチガチに固まっているようでは、その先の展開も思いやられます。

そうではなく、部屋に入ってすぐ、あいさつをする時こそがエレベーターピッチをするチャンスです。

本記事最後に例文を載せますので参考にしてみてください。

 

エレベーターピッチの練習方法

エレベーターピッチの練習方法としては、時間を測りながら、声に出して話す練習を何度も何度も繰り返すしかありません。

まずは一人で他に誰もいない部屋にこもり、ひたすら壁に向かって話しましょう。その際、あたかも目の前に相手がいるかのように、本番さながら表情も作ってくださいね。

一人の練習に慣れてきたら、家族や友達にお願いして、エレベーターピッチを聞く相手になってもらい、直接話しかけてください。

ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、本番前に1回やってみるだけでも大丈夫です。一人でやるときとは全然違うことが分かりますので。

アメリカMBAが教えるエレベーターピッチの練習方法

ちなみにぼくがアメリカMBA留学時に取り組んだ事例も紹介します。

ぼくが通ったビジネススクールでは、50~60人ほどの学生たちで2つの輪(内側と外側)を作って練習しました。

まず、最初に目の前にいる相手に対して自分が30秒で話します。まるで初対面かのように、笑顔で明るくしゃべりまくるのです。

30秒経過すると合図が有り、こんどは相手が自分に30秒で話します。

それが終わるとまた合図が有り、内側の輪の学生たちが一つローテーションをし、今まで自分の一つ左前にいた人が自分の目の前にやって来ます。

そしてまた合図とともにお互いに30秒ずつ話しをする。そしてローテーション。

これを延々と繰り返し、みんなが「もう慣れたよ!」と言うまで続けます。

ぼくはこのようなことを日本でやったことが無かったので最初は緊張しましたし恥ずかしくてたまりませんでしたが、何度も繰り返すうちに慣れてしまいました。

アメリカ人やインド人クラスメートの中には最初から口八丁手八丁に上手に話している人もいましたが、最初は出身地を問わずほとんの人がぎこちなく、みんなで練習して一緒に苦手意識を克服して行きました。

緊張するのは世界共通、練習あるのみです。

 

転職活動で使うエレベーターピッチの例文紹介

転職活動で実際に使えるエレベーターピッチの例文を紹介します。

面接本番の冒頭で、あいさつと合わせてエレベーターピッチを使える例文

面接本番では、部屋に入って最初にあいさつをしますが、そこで合わせてエレベーターピッチを取り入れると効果的です。

「はじめまして、ハナコです!今日はお時間いただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いします。」

一般的には、これであいさつ終了となりますが、ここにエレベーターピッチを加えます。

「はじめまして、ハナコです!今日はお時間いただきまして、ありがとうございます。今はXX業界でYYの仕事をしているのですが、ZZといったきっかけから、御社のようなAA業界のトップ企業で働きたいと考えるようになりました。これまでもホームページや会社説明会を通じて御社について学ばせていただきましたが、知れば知るほど興味が大きくなっています。こうして面接に呼んでいただいたこと、非常にうれしく感じています。」

これでサーッと話して30秒弱。

これだけで、あなたがすでにその会社についてリサーチをする努力をしていて、それだけ熱意があるということが分かります。

もちろん、この直後からいろいろな質問を受けることになりますが、しっかりとリサーチを重ね、自分の思いを伝える練習を繰り返してきたあなたであれば輝けるでしょう。

ぼくがインターンシップで使った、リアルなエレベーターピッチの実例

その昔、ぼくがとある会社でインターンシップをしていた時のことです。

それは8週間のプロジェクトで、日々の仕事ぶりや、最終プレゼンテーションの内容によって、本採用のオファーを出されるかどうかが決まる、というものでした。

ぼくはそこの会社のことをすごく気に入っていて、必ず本採用オファーをもらおうと必死でした。

そしてインターンシップ期間も中盤にさしかかったころ、お昼ごはんの外出からオフィスビルにもどってエレベーターに乗ったら、なんとその会社の社長さんがいる!

そのエレベーターの中には、他の社員たちも同乗しています。どうする?いや、こんなチャンス、二度とない!

「こんにちは、XXさん。私、現在YY部でインターンをしている、AAです。以前にZZで行われた会社説明会でXXさんが、うちの会社はインターンシッププログラムが充実している、とおっしゃっていましたが、本当にその通りだと日々感じています。リアルな業務課題を与えられ、先輩社員のサポート、そして必要なリソースは好きなだけ使わせてくれる。それでいて、スケジュール管理や決断・判断は自主性に委ねられているので、非常に難しくもありますが、自己成長にもつながっています!」

この約30秒のエレベーターピッチのあと、ちょうどXXさんのフロアにつき、「それは良かった!この先もがんばってくださいね。」と声をかけてくれながら降りていきました。

ちょうど同じエレベーターに乗っていた先輩社員が、「エレベーターピッチを、本当にエレベーターの中でやっている人をはじめて見たよ!びっくりしたけど、その積極性がいいね!」とほめてくれました。

このようにとっさに口から言葉が出てきたのは、日頃の積み重ねですし、何よりも本当にその会社のことが気に入っていたからです。

 

【まとめ】エレベーターピッチが転職活動に役立つ理由と実践方法

このように、エレベーターピッチは転職活動のあらゆる場面において役に立ちます。

具体的な実践方法も解説しましたので、ぜひ取り組んでみてください。

最初は、自分から積極的に話すことに恥ずかしさを感じることがあると思いますが、誰だってそうです。

ですが、何回も練習をすれば慣れてきますので安心してください。

そして本記事で紹介した例文だけでなく、あなたの口から自然に出てきそうな、あなたらしいエレベーターピッチも探してみてくださいね。

エレベーターピッチが、あなたの強みのひとつとなりますように。

 

 

 

「失敗しない転職活動のすすめ方」マニュアルの一覧はこちらからどうぞ。

失敗しない転職活動のすすめ方

 

ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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