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本レビュー『年収は住むところで決まる』。あなたは次どこに住む?

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“年収を上げたくて、仕事も自己啓発もがんばっているけれど、この方向性が正しいか、ふと不安になってきた。”

こんな悩みをもつ方に、少し変わった情報を提供します。

それは、「年収は住むところで決まる」ということ。

それを細かく研究した人の本がありますので、その内容を紹介します。

 

この本のポイント

・高い年収が欲しければ、年収の高い地域に引っ越そう

・年収の高い人たちに囲まれて暮らすことが大切

 

短期的な金儲けの話でもなんでもなく、学術的にその仕組みや背景が説明されていますので、すごく参考になります。

 

【本レビュー】年収は住むところで決まる

イノベーション産業が高い年収を実現する

この本はまず、世界一の経済大国である現代アメリカにおいて、社会を豊かにするような価値を生み出し、その結果として高い収入を上げているのはイノベーション産業である、という切り口で一貫しています。

アメリカでも日本でも、ものづくり・製造業を復活させることで雇用を守り、増やそう!だなんてかけ声がよく聞かれます。

しかし、製造現場の仕事は、中国や東南アジアなどの低コスト地域に流れる一方です。

企業として利益を最大化させるためには、人件費の安い労働力を求めて国を出て行くのは当然であり、一度出て行ったものは戻ってきません。

たとえ、アメリカの人件費が中国の人件費と同じになったところで、仕事をアメリカに戻すためにはコストがかかります。

そのコストを払ってでも戻したいのであれば、アメリカの人件費が中国の人件費に比べて、相当安くならないといけないわけですから、ちょっと現実的ではありませんね。

しかし、アメリカにおいては、ここ最近ずっと、イノベーション産業が大成長してきました。

イノベーション産業は雇用創出に貢献している

ITに代表されるようなイノベーション産業は、製造業に比べて雇用創出に貢献していないようなイメージですが、実はそんなことはありません。

フェイスブックだって、自社の従業員は2011年時点で1500人程度ですが、フェイスブック向けのアプリや関連ビジネスを通じて13万人以上の雇用を生んでいると言われています。

製造業を代表する自動車会社のGMの雇用数が約8万人であることを考えると、イノベーション産業は立派に、実は製造業以上に、雇用を生んでいるともいえるのです。

実際、ある場所でイノベーション産業の雇用が1つ増えると、同じ場所で、飲食店や弁護士サービスやヨガインストラクターなど、関連する雇用が5つ増えるというデータもあるようです。

これが伝統的な製造業ですと、製造業の新規雇用1つに対し、関連する雇用は1.6程度とのこと。

つまり、イノベーション産業の方が製造業よりもよほど、雇用に貢献しているということです。

すると、自治体なんかに勤めていて、新しい産業を誘致しようとしている人たちは、製造業よりもイノベーション産業に強くアプローチした方が良いということですね。

年収は住所で決まるというデータ

他にも、年収は学歴よりも住所で決まる、なんていうデータもあるようです。

これは、年収の高い地域の高卒学歴の人の方が、年収の低い地域の大卒学歴の人よりも、年収が高いという事例が見て取れる、ということ。

年収だけでなく、健康や政治参加の度合いなどにも相関関係があるそうです。

年収が高い場所の特徴

では、そういう年収の高い場所には、どのような特徴があるのか?

著者によると、そこには3点あります。

豊かな労働市場

1つは、労働市場が豊かであること。

イノベーション人材が多くそろっている土地では、競争が激しく、人材のレベルが高いことがうかがえます。

規模が大きければ大きいほど、雇用者と雇用主とのマッチングがうまく行きます。

発達したエコシステム

2つ目は、ビジネスのエコシステムが発達していること。

エコシステムとは、弁護士サービスやベンチャーキャピタルが密接に、有機的に繋がって機能している場のこと。

そういう場であれば、何か新しいことを始めようとする際、すぐにサポートを得られ、軌道に乗せやすくなるということです。

知識の伝播が容易

3つ目は、知識の伝播が容易であること。

まず、フェイストゥーフェイスのコミュニケーションがしやすいこと。

そして、良いアイディアというものは、日頃の会話の中からふと思いつくものであり、常にそのような環境に囲まれていることが大事だということです。

このような理由から、製造業の現場の仕事は海外移転されたとしても、イノベーションの拠点は簡単には海外移転できないというわけです。

どうすれば、イノベーション拠点を作れるか?

すると、次に気になるのは、どうしたらそのようなイノベーション拠点を作ることができるのか?という点です。

それはやはり、人材にかかっています。

中でも、スター人材がいるかどうかがポイントとのことです。

地元シアトルに愛着を感じてマイクロソフトのオフィスを設けた、ビル・ゲイツが良い例です。

彼が地元に戻るまで、シアトルは「絶望の町」と呼ばれているほどに衰退したエリアでした。

それが今ではアマゾンも含め、ハイテク企業が多く集まっています。

シリコンバレーであっても、のどかな農業地帯でした。

そこからイノベーション拠点に変わり始めたのは、トランジスタの発明家、ウィリアム・ショックレーが移住した時からです。

現在、時価総額の上位に位置するアップルやグーグルもシリコンバレーにあります。

フェイスブックなどのハイテク企業は、優秀な人材の採用に必死です。

ビジネスやテクノロジーに特に秀でた経営者がいれば、その経営者を自社に雇い入れるため、その経営者が経営する企業を丸ごと買ってしまいます。

そこまでしてでも、スター人材を取り込むことが大事なのです。

スター人材がいる場所には、自然に人が集まってきて、そこに素晴らしいエコシステムが形成されていきます。

ビジネスだけでなく、大学でも同じような動きが見られ、特に優秀な教授陣は、高額報酬で引っ張りだことなります。

まとめ:年収を上げるには、イノベーション産業の集積地に住む

こうして見ても、自分の年収を高めたければ、年収が高い地域に身を置くことが大事であることが分かります。

それを現代の考え方に置き直すと、イノベーション産業が集まるところに身を置くことが大切だということです。

さてあなたは、どこに住みますか?

 

 

アメリカのトップMBAを取得し、卒業後にアメリカ企業本社の幹部候補生として採用されたノウハウを紹介しています。

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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