エッセンシャル思考 (その1):あれもこれもと全てに労力を費やすより、本当に大事なことにだけ集中すべき
「ああ、忙しい、忙しい。」「やることが有りすぎて、ぜんぜん、時間がない。」「どの仕事にもじっくりと取り組みたいのに、忙しすぎて余裕が無い。」「どれも大事だから、どれも手が抜けない。」「猫の手でも借りたいとは、まさにこのこと。」「残業続きで今日も寝不足だ。」「やってもやっても、終わらない。」「今週末も休日残業だなぁ。」
こんな状態に限って、長時間労働で充実しているようで、実はぜんぜん満足感が無いもの。じゃあ、どうしたらこの状態を抜け出すことが出来るのか?
今回紹介したい本は、「エッセンシャル思考」という本です。世の中の大半のものは自分にとってそれほど価値の無いもので、本当に大切なものを見つけ、それだけに注力しましょう、という考え方を提唱しています。エッセンシャルとは、「本質的・最重要」という意味です。
Essentialism by Greg McKeown |
この考え方は、働き方や時間の過し方だけに当てはまるものではありません。たとえば、テレビのリモコンを想像してください。録画や早送り・巻き戻し、それから外付け媒体への保存機能にガイド機能、ハイビジョン画質やデジタルなんとかがどうのこうの。あぁ~、もう、なにがなんだか分かりません。最先端の機能がたくさんついたリモコンほど、使いづらいものはないと感じませんか?ぼくはすべての機能を使い切れませんし、ボタンが多くあればあるほど、音量やチャンネルなどの基本的なものも見つけにくくなり、使うのがイヤになってしまいます。
ここでも、エッセンシャル思考が大切で、本当に価値ある機能だけを残し、それほど価値のない機能は取り除きましょう、というもの。そうすれば、利用者にとって、ずっと使いやすくなるのです。
写真は我が家のリモコンです。ボタンの多さにビックリですよね。ちなみに、この2つ、両方ともを操作しないと、番組が見られません。そのせいか、ぼくはほとんどテレビを見ません。
以下、本の内容に沿い、ポイントを学んでいきます。
The Essentialist
まず、エッセンシャル思考をするとしないとでは大きな違いが出てくるということで、エッセンシャル思考とはどのようなものか、その説明から始まります。
端的に言うと、全てはこの絵で表されます。どれも大事だからといって、全てに手を出したところで、結局はどれも中途半端にしか労力を避けない。それよりも、本当に大事なことだけを見極めて、そこにとことん注力すると、素晴らしい結果を得ることができる、ということです。左のやり方では、ただ消耗するだけで、どの分野・領域でも結果が出ないことは明らかです。より多くのことに手を出せば出すほど、余計に消耗します。ぼくも経験があります。
しかし実は、右側のエッセンシャルの人にも罠が待ち受けており、成功をすればするほど、「あの人に頼みたい。」と、いろんな仕事が舞い込みます。で、それらを受けてしまうと、結局は左側の非・エッセンシャルになりかねないというもの。つまりそれは、成功のパラドックスであるのです。だからこそ、常に、自分にとって本当に重要であるもの以外には、「No」と言い続けなければいけないのです。
現代社会には実に多くの選択肢があり、社会的なプレッシャーもますます大きくなる一方で、「頑張ればなんでもできる!」だなんて考えも広がっています。そう言ったものを認めた上で、エッセンシャルになるためには、自分にとって大切なことは自分で取捨選択をする、という主体的な意思・行動が大事であるということです。
具体的には、「はじめに選択の幅を広げ、それぞれをよく吟味する。」「最も大事なものを見極め選択したら、それ以外は取り除く」「自分で選択したものに、集中して取り組む」という行動のサイクルを回す必要があります。
それぞれの具体的な内容については、次回以降に続きます。