モロッコ旅行で価格交渉体験!【泡と消えたモロッコの夢】
僕は旅行が好きで、よくバックパック一つで色んなところに足を伸ばします。
そんな時、旅先でちょっとしたものをお土産に買うことが有ります。
商習慣はどこの国も違いますが、しっかりと価格交渉をして買い物をすることが得意です。
でも最初から得意であったわけではありません。
もう何年も前にモロッコに行った時のこと。
そこで体験した価格交渉について書きます。
モロッコ旅行で価格交渉体験!
生まれてはじめて踏みしめるアフリカ大陸を想い、旅立つ前から僕の胸は踊っていました。
アフリカ大陸にありながら、ヨーロッパの文化を色濃く残していること。
昔はフランスの植民地だったので、町中のいたるところにカフェがあるのです。
宗教はイスラム教が主流。
これはヨーロッパで主流のキリスト教とは異なります。
それでいてアフリカ文化も入り混じります。
街中はカラフル。
お酒を飲まないから、嗜好品は砂糖たっぷりのミントティーだとか。
しかも、ベルベル人という先住民族がいて、商売がすごく上手らしい。
ああ、そんな無秩序を夢想するだけで砂漠にゆっくりと包まれていくような不思議な気持ちになる。
お土産を物色する
せっかくだから、モロッコでしか手に入らないものをお土産に持ち帰りたい。
ガイドブックを開くと、革製品や形が面白いタジン鍋など、色々と目に飛び込んで来ます。
その中で一つ、僕の心を掴んで離さないものが有りました。
それは、アロガンオイル。
モロッコだけに生息するアロガンの樹から採れる希少なオイル。
ビタミンEやカロテンが豊富で、ひとたび肌に塗り込めば肌細胞が活性化し、若返りを果たしてくれる魔法のオイル。
誰もが欲しがるこのオイル、値段はファーストクラス。
100mlのボトルが1本で4000円。
でも現地に行けばもっと安く買えるはず!
そう考えただけで、僕はすでに魔法のランプを手にしたような気持ちになりました。
モロッコに着いてから、行く先々で地元のお店に立ち寄っては目当てのアロガンオイルを探しました。
おー、棚の上からこっちを見ているアロガンオイルたちよ!
交渉開始
早速、手にとって値段を聞くと、
「オメガタカイ!イマダケ、ダイサービス、7000エンダヨ!」
(価格は現地通過から換算)
「な、何ーっ!?日本より高いじゃないか!」
他のお店に行って値段を聞いても、6000円とか8000円とか、なぜかモロッコ国外で買うよりも高い値段を言ってくる。
しまいには、「サイフニハ、イクラハイッテル?」と聞いてくる始末。
欲しがるそぶりを見せてはダメだと気づく
そう、タクシーやレストランでの価格交渉も何度か経験するうちに、分かってきたんです。
「この国では欲しがる素振りを見せてはいけない。ふっかけられるだけだ。」
僕は作戦を変えました。
次のお店に足を踏み入れ、目で盗むようにささっと店内を物色すると、お土産にちょうど良い、アロガンオイル入りの石鹸が売ってる!
喜ぶのもつかの間、奥からすかさず店主が言い寄ってきます。
「ナニヲサガシテイル?」
喉まで出かけた「アロガン…」という言葉を飲み込んで、すぐそばに有った小物を手に取りました。
「オオー、ソレハスゴクイイモノダネ!キョウダケトクベツ、2000エンダヨ!」
「いやいや、こんなもの、20円がいいところでしょ。」
僕も仮面をかぶって言ってみます。
すると全身を使って、「アリエナ〜イ!!」と言い返して来ますが、お互いに歩み寄ったり、時に店を出て帰る素振りを見せたり、40分ほど我慢強く交渉を続けて200円か400円かというところまで詰まってきました。
そろそろだな。
そう思った時、僕の人差し指が棚を差しました。
「しかたないから400円払うよ。でもその代わり、そっちの小さな石鹸を20個、サービスでつけてよね。」
「ナニヲイウ!コノセッケンハ、モロッコノタカラ、アロガンオイルダヨ!」
そして最後にもう10分ほどお互いの言い分を応酬。
そしてようやく、その石鹸を10個つけてもらうことに成功したのです。
「オマエハ、ベルベルジンカァーッ!!」
店主が投げかけた最後の言葉を背中で受けながら、店を出る僕が手に持っていたのは、400円で買った小物1つとアロガンオイル入りの石鹸10個。
サハラに輝く太陽の下、笑いが止まりませんでした。
帰宅後にお土産を渡すと、予想外の展開に
意気揚々と帰宅して友人たちにアロガンオイルの効用を説明し、そのありがた〜い石鹸をお土産として渡しました。
喜んでもらえることが嬉しくて、自分の分も含め、10個全て渡しました。
ああ、喜んでもらえて幸せだな〜。
できれば、「肌がすべすべになった」とか「ツルツルになったよ」とか、聞きたい。
でもどうしたことか、1週間経っても2週間経っても、誰も何とも言ってこないのです。
感想を直接聞いてみた
思い切って一人をつかまえて聞いてみました。
「あの石鹸、どうだった?」
「ああ、あの石鹸さ、なぜか泡立たないし、ボロボロ崩れるんだよ。使えば使うほど汚れるような気がするというか。まるで、石鹸じゃないみたい。」
あ、あれ?
まさか。。。
魔法のランプをこすったのは、本場のベルベル人の方でした。
そう、ぼくがつかまされたのは、偽物でした。
結局、ぼくが手にしたもの
僕の手元に残ったのは、小物が一つ。
上のフタをスライドして開けると、中から黒いヘビがニョロニョロ〜って出てくるビックリ箱です。
今でも大事に持っています。
モロッコのおまけ画像【現地の様子】