息子が生まれたのは、みずみずしいビワが実る季節。

横一文字に切り開かれた、奥さんのお腹から出てきた赤ちゃんは、どす黒い色をしていました。

奥さんのお母さんが立ち合いをしてくれ、写真や動画を撮ったものをLINEでたくさん送ってきてくれたので、仕事中のぼくにも出産のリアルを感じることができました。

仕事にばかり精を出し、自分の家庭を持つことなどほとんど考えてこなかったぼくも、気づけばアラフォー。

友人たちに比べるとかなり遅く結婚をし、子供をもつことになりましたが、そこで感じることをつづっていきます。

 

初めて対面した時の気持ちは?

奥さんが里帰り出産をしたため、妊娠中を通じてぼくは、自宅と奥さんの実家を行ったり来たりしていました。

そしてようやく出産から1週間が経過した時、いよいよ病院を退院し、奥さんと赤ちゃんが家に戻ってきます。

ぼくは病院に入ることができなかったので(コロナの影響)、病院へのお迎えも、奥さんのお母さんにお願いしました。

家で待っていると、お母さんと奥さん、そして赤ちゃんが帰ってきました。

家のリビングには赤ちゃんが寝るためのカゴがすでに用意されてあります。

ふかふかに敷きつめた毛布の上に赤ちゃんが寝かされました。

そしてそれを覗き込む形で、ぼくと赤ちゃんとの初対面。

「小さい!」

これがぼくが赤ちゃんに感じた第一印象でした。

入院中の写真や動画でもその小ささは伝わってきましたが、まさかこんなにも小さいとは。

頭はテニスボールを少し大きくしたくらい。

手足はヒョロヒョロと細く、身体全体が今にも壊れてしまいそうなくらいに弱々しく感じます。

約2,500gと小さく生まれた我が子ですが、たとえ3,000gあったとしても、この小ささは変わらないのでしょう。

 

父親になった実感はあるか?

初対面の後、そのか弱そうな身体に触れることすらためらわれましたが、奥さんにすすめられて抱いてみることに。

頭と体を同時に抱き上げてあげないと、パーツのひとつずつが落っこちてしまいそう。

寒くならないよう毛布に包んであげたまま、ゆっくりと抱きかかえました。

といっても、こわごわとした手つきで、自分のひざの上にのせるだけで精いっぱい。

やっぱり、小さくて軽い。抱いている重みすら感じられないような軽さ。

そして奥さんが聞いてきました。

奥さん「どう?父親になった気持ちは?実感はある?」」

ぼく「いや、特に。そう聞かれても、何かビビッとくるものはない。」

もちろん父親になったことはわかるけれど、特別な感情が湧き上がってくるというものではありませんでした。

これは直接的に身体が変化する女性との違いなのかもしれないと感じました。

よく言われることとして、女性は出産を通じて意識と行動とが大きく変わるけれども、男性は何も変わらないということを聞きます。

体感値として、その通りだと思います。

だからといってそれが悪いわけではなく、ママもパパも、双方が一緒になって育児に取り組めば良いだけの話でしょう。

 

夜に寝られないって本当?

赤ちゃんができると夜泣きで夜に寝られなくなるとは聞いていましたが、これは本当でした。

1~2時間おきに必ず泣いては起きて、ミルクかオムツ替えを求めます。

オムツを開けると、おしっこやうんちをしているので、ためるということすらできないことが分かります。

ミルクにしても、ママのおっぱいを求めるのですが、新生児なのでまだ上手に飲むことができません。

飲めない時間が長くなると、泣き声が大きくなってきます。

それにママのおっぱいだって慣れていないので、まだ十分には出てきません。

あらかじめ搾乳器でしぼっておいたミルクを哺乳瓶に保管し、夜な夜な起き出しては、それを湯煎で温めて、人肌の適温になったところを赤ちゃんにあげます。

こういったことをしていると、昼夜問わず、四六時中、新生児赤ちゃんにつきっきりとなります。

さすがにぼくは平日は仕事があるので夜は部屋を変えて寝るようにすることを奥さんと決めました。

しかし、ぼくがゆっくり寝ている間にも、夜中に何度も起き出しては赤ちゃんの世話をしてくれている奥さんに、頭が下がります。

なお、新生児の赤ちゃんは寝ている時に突然、ビクッ!と、両手両足を大きく伸ばすことがあります。

これはモロー反射といって、太古の昔に人間が木の上で暮らしていた時、万が一、木から落ちそうになっても親につかんでもらいやすくするために覚えたことだと言われています。

それは生存のために大事なことなのでしょうが、モロー反射をするたびに自分で目を覚ましてしまい、寝られないことが辛く、泣き出してしまいます。

ですからモロー反射の時に両手両足が伸び上がらないよう、毛布で包み込んであげるなどしましたが、うまくいく時もあれば、うまくいかない時もあり、とにもかくにも、ずっと赤ちゃんのことを見守っていました。

 

初めて知ったこと、学んだこと

赤ちゃんができて変わったことのひとつとして、奥さんが母親の表情をするようになったことが挙げられます。

赤ちゃんを抱いているときの幸せそうな顔からは、「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」と呼ばれることの多い、オキシトシンが多く分泌されていることを感じ取れます。

しかしこのオキシトシン、そう単純ではないことも知りました。

なぜなら、よく耳にする夫婦喧嘩の原因が、このオキシトシンによるものである可能性がありそうだからです。

赤ちゃんができると、当然ながらその子を守ろうとオキシトシンが分泌されるわけですが、逆にその我が子を守ろうとしない人に対しては、攻撃的になるという性格も出てくるようです。

実際にぼくと奥さんとの間でも、ちょっとしたことがありました。

新生児を抱いて授乳をしている奥さんから「あ、ちょっとタオルをとって!」と言われたとき、ぼくはちょうど仕事のメールを送ろうとしている時でした。

「分かったよ。今、仕事のメールを送るところだから、ちょっと待ってて!」

こう言って、ぼくはメールを書き続けていました。

赤ちゃんが生まれる前は、お互いのペースを尊重し合うため、何かをお願いされたらその人のタイミングで動き、頼んだ方もそれを待つのが夫婦間の決まりのようになっていたのです。

しかし、数十秒後に奥さんが大声をあげました。

「待てないよ!タオルが今すぐ必要だから頼んだのに!!」と。

子供が生まれる前まで、お互いにそんな風に大声をあげたことは一度もありません。

その時、すぐにお互いの表情が攻撃的になりましたが、その日の夜、赤ちゃんが寝入っている時に話し合いました。

ぼく「今日、大声をあげてたけど、あんな風に怒るなんて、どうしたの?」

奥さん「赤ちゃんのことを考えてくれていないって感じたからだよ。私は待てても、赤ちゃんは待てないんだよ…。」

ぼく「それは分かるけれど、そんな短気じゃなかったじゃない。もっと忍耐力があって、お互いを尊重していたと思うんだけど。」

奥さん「うんそうだよね、ごめんね。なんだか自分でもよく分からない…。」

ぼく「たしかに、赤ちゃんにとっては1秒も待てないことは分かるから、ぼくも気をつけるよ。」

そして数日後、奥さんが調べてきました。

奥さん「もしかしたら、オキシトシンのせいかもしれない。オキシトシンって、愛情が出る反面、敵だと思った人には、とことん攻撃的になるんだって。」

なるほど、オキシトシンにはそんな一面もあったのか。

そこからぼくたちは、お互いを子育ての協力者となることを再確認し、奥さんが声を荒げることは二度となくなりました。

 

【まとめ】0歳1ヶ月で感じたこと

このように、はじめて自分の子供を抱きかかえたところで、男性には特別な変化が突然訪れるものではありません。

父親の実感というものがいきなりやってくるものでもなく、ただただ目の前の小さな生き物と正面から向き合っていく毎日を重ねていくのみ。

ママだけでなくパパにだって、オキシトシンは分泌されます。子供はかわいい。

「ママ・パパの二人が一緒に協力して子育てに取り組んでいこう。」

こうシンプルに考えるのみです。