会社で幹部に出世する方法【ビジネススクールでは教えてくれないこと】
出世をするためには、「結果にこだわり、目標を達成しよう!」とか「情熱をもってハードワークしよう!」などと聞くことが多いですね。
もちろんそれらは大切なことですが、「会社で出世をする」という目標においては、少し視点を変えた方が良さそうです。
今回は、アメリカでベストセラーになっている本の紹介で、ちょっと変わった出世のアドバイスがなされています。
『Stealing the Corner Office: The Winning Career Strategies They’ll Never Teach You in Business School』by Brendan Reid
Corner Office (コーナー・オフィス)とは文字どおり、オフィスにある角部屋のことで、「エグゼクティブや幹部メンバーの部屋」という意味で使われる言葉です。
それをStealする (掴み取る) 、ということです。
タイトルは要するに、「幹部に出世する方法:ビジネススクールでは教えてくれないこと」となります。
会社で幹部に出世する方法
会社で出世し、幹部に昇進する方法など、たしかにビジネススクールでは教わりません。
その内容をまとめましたので、見ていきましょう。
職場の現実
よく、「目標達成にこだわること」や「情熱をもってハードワークすること」の素晴らしさが取りざたされるが、現実は、そううまくはいかない。
メディアで賞賛される会社は数あれど、完璧な職場など一つもない。
ましてや、論理性やフェアネス、ハードワークや頭の良さだけで評価されるほど理想的な会社なんて無いのだ。
なぜなら、会社というものは個人の集まりであり、その個人にとっての最重要事項は、「職の安全」や「個人の欲求の追求」だからである。
よって、企業理念やミッション、ビジョンなどの何よりも、組織は個人の集まりであるということを理解することが、まずは大事になってくる。
どの職場でも、出世の如何を観察していると、「デキるのに出世していない人」、「能力がないのに出世している人」、「ヤル気を失った人」と、大きく3つのタイプを見て取ることが出来る。
その人たちから、次の7つのレッスンを学ぶ事が出来る。
7つのレッスン
(1) 絶対に情熱的になってはいけない
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのプレゼンテーションを見て、「情熱的で、自分のアイディアに信念を持って訴えれば、きっとみんな話を聞いてくれるし成功するはずだ!」と考えることは、会社勤めの人にとっては間違いである。
なぜなら、会社組織というところは、「客観的に複数のオプションを考察し、それらの中で最も効果的であると考えられるものを選択する」能力が重要視されるところであるからだ。
つまり、「自分はこのアイディアを信じています!」などと情熱的に訴えることは、誰からも求められていないということ。
(2) みんなが嫌がるような変化でも、受け入れよう
人間は誰しもが変化を拒むもの。
しかし、出世のチャンスというものは、他社との提携・合併や、マネジメント層の大幅入れ替え時などの変革期にこそ生まれるもの。
そんな時に、他のメンバーと一緒になって、新しいマネジメントシステムに文句を連ねていても出世のチャンスは遠のくだけ。
そんな時こそ、積極的に変化を受け入れ、新しい環境に溶け込む努力をし、自分をアピールしよう。
(3) 自分が取り組んでいるプロジェクトをアピールしよう
「良い仕事をしていれば、いつか誰かが自分の功績に気づいてくれるだろう」なんて考えは捨てよう。
そんな風にはうまくはいかないのだ。
それよりも、プロジェクトに取り組む前に計画を報告し、取り組んでいる最中に経過報告を行い、完成後には結果を積極的にアピールすることが大切だ。
そうでもしないと、誰も自分に気づいてくれないもの。
(4) 「目標達成主義」の罠にはまるな
目標達成にこだわることは当然ながら大事なことだが、それだけにとらわれていてはいけない。
というのも、目標達成というのは、会社全体の目標であり、あなたにとっては「出世」というもう一つの大事な目標があり、それにも労力を費やさないといけないからだ。
個人の目標をないがしろにして、会社の目標だけに全力を注いでしまうことには気をつけよう。
(5) 同僚との愚痴大会には参加するな
職場で愚痴や噂話ばかりしている同僚がいれば、必ず距離を取ること。
一緒になってネガティブな話をしていたところで、出世の道が近づいてくることはない。
むしろ、遠のいていく結果になる。
また、自分の出世を決めるのは、自分よりもポジションが上の人たちであり、自分と同じレベルの同僚たちの愚痴や噂話に気を病む必要はない。
(6) 目立つプロジェクトに取り組もう
出世をするには、幹部層の目に止まる必要がある。
それには、小さな規模のプロジェクトを数多く成功に導くよりも、会社全体が注目するような大きな規模のプロジェクトに積極的に関わることだ。
え、「自分の責任範囲じゃない」だって?
そんなことは言わず、大きなプロジェクトを探し出し、自分もプロジェクトに関わらせてもらえるよう、積極的に申し入れよう。
あなたがやらないのならば、他の人がやるまでだ。
(7) 部下に「仕事をさせる」のではなく、部下の「成長を助ける」
幹部に向かって出世をするということは、その組織のリーダーになるということ。リーダーの仕事というのは、部下に「仕事をさせる」ことよりも、部下の「成長を助け」、さらにその部下が成長し続けた結果として将来のリーダーに育つことが大切。よって、部下を力づくでコントロールしようとするスタイルは取るべきでない。
3. おすすめアクション
(1) 自分の出世に影響を与える人のリストを作る
まずは自分の出世に影響を与える人を理解することが大切だ。
自分の上司はもちろんのこと、上司の上司、他部門のキーメンバー、それから売買取引先の関係者にも視野を広げること。
その時に、次の7つの視点からランク付けすることを勧める。
「勤続年数の長さ」「自分をクビに出来る力を持っているか」「自分の出世に意見する力を持っているか」「普段の声の大きさ」「よく批判的でネガティブな意見を口にするか」「自分のサポーターになってくれそうか」「近々、出世しそうか」という7点。
マトリクスにランク付けをすると、自分の中で優先順位付けをしやすくなる。
「影響力を持つ人リスト」ができたら、それぞれと月に1回ほど話をする機会をセットアップしよう。
別におべっかを使えと言っているわけではない。
その人たちがどういうことを重要視しているか理解し、自分のキャリア志向も伝える良い機会になる、ということが趣旨だ。
(2) 出世プランを作る
自分の中で、出世プランを作る。
自分の中ですらプランが無い中で、他人が自分に対して出世プランを作ってくれるようなことは期待できない。
いつまでに、どのようなポジションにつきたいのか、自分で計画を立てることが大切だ。
「影響を持つ人リスト」と組み合わせれば、自分のプランに合わせ、ネットワーキングすべき対象の人も明確になり、その後の行動が効率的になる。
ネットワーキング時にすべきこともシンプルで、「出世したいことを伝え、そのために必要なアドバイスをもらい、随時フィードバックをもらう」ことだ。
(3) スペシャリストよりもジェネラリストを目指そう
幹部というものは会社全体をリードする必要があり、ジェネラリスト的な視点を持つ必要がある。
一つのスキルを磨くことは尊いが、出世を目標にするならば、ジェネラリストとして通用するよう、さまざまな視点・スキルを身につけることを意識しなければいけない。
これまでやったことがない仕事にも、積極的に関わっていくようにしよう。
また、常に新しいスキルを身につける姿勢が欠かせないため、毎日の努力が肝心だ。
1日最低30分でも良いから、本を読んだり勉強する習慣を身につけよう。
4. まとめと感想
著者も文中でくり返し説いているのですが、職場で出世をすることを目標に、影響力ある人に対してネットワーキングすることは、おべっかを使うこととは全然違うのです。
出世をするということは、より大きな権限を得るということ。権限を得るということは、同じだけの責任もついてきます。
そして、その職務を全うするだけの能力も持たないといけないため、出世するには自分磨きが欠かせません。
つまり、「自分は出世をしたい」と伝えるということは、「自分はより大きな責任を担う覚悟があり、それに向けて努力を惜しまない」と宣言する、健全なことであると考えるのです。
またそもそも、出世の如何にかかわらず、自分のキャリアに対して受け身になってはいけないなと、改めて考えました。
自分のキャリアは自分で築くものであり、他の誰かが責任を持ってくれるものではありません。
ぼくも、「頑張っていれば、誰かが見てくれている」は真実だと思っていますが、「自分のキャリアに責任を持てるのは、自分しかいない」ということもまた、真実だと考えています。
それと、本書の内容からはずれますが、「自分のメンターになったつもりで自分にアドバイスするとしたら、どういうことを伝えるか?」と考えることも、余計なことに惑わされず、自分の利益に素直になれる一つの手であると考えています。
あなたは、どう思われますか?