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中国スタートアップがスマホ市場で急成長する事例【OPPOとVivo】

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OPPO (オッポ)Vivo (ビボ) というスマホメーカーの名前は聞いたことがありますか?

現在、中国スマホ市場、そして全世界で大躍進を遂げている、新興スマホメーカーです。

どちらも、中国南部の広東省にベースをおくBBKという会社のブランドです。

最近は日本にも進出してきていますが、どうやって急成長をしてきたのか、本記事ではその経緯について紹介します。

後進にも関わらず既存プレーヤーたちを急速に出し抜いた成功事例として、参考にしてください。

「強敵との戦いを避けながら成長する」というビジネス戦略が大変学びになります。

中国スタートアップがスマホ市場で急成長する事例【OPPOとVivo】

中国スマホ市場のプレーヤー顔ぶれ

中国スマホ市場におけるビッグネームといえば、Apple(アップル)、Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、そしてSamsung(サムソン)らが挙げられます。

どれもおなじみと思いますが、Xiaomi(シャオミ)に関しては、近年、店舗を持たずにオンラインマーケティングによって、急速にシェアを拡大させてきたことが有名です。

しかし、それに対して、OPPOとVivoは、オンラインマーケティングではなく、リアル店舗をもつことによって、販売攻勢を強めています。

同じ新興勢力としてのXiaomi(シャオミ)とは、正反対のことをすることで成功しているのですが、そこでは何が起きているのか?

中国スマホ市場のマーケットシェアと各企業の成長率(2016年時点)

参照元:TechCrunch

 

まず、こちらのデータをご覧ください。TechCrunchの記事から引用した、IDCというリサーチ会社のデータです。

2016年時点、販売数量ベースで堂々の1位はOPPO (前年比122.2%!)です。

中国ローカルの巨大メーカーであるHuawei (前年比21.8%) が2位につけていますが、3位はVivo (前年比96.9%!)

そして、AppleとXiaomiが続きます。

Appleは前年3位からの転落 (前年比-23.2%) 、Xiomiに至っては前年1位からの転落 (前年比-36.0%) です。

いったいOPPOとVivoは、どのようなマーケティング戦略をとっているのか?

急成長して売れるほど、すばらしい、差別化された製品を販売しているのか?

OPPOとVivoの広告露出

まず、OPPOとVivoは、非常に多くのお金を広告にかけています。

現在、中国に行くと、いたるところに出ている、OPPOとVivoの広告を見ることができます。

以下のものは、空港内で。

どこの空港に行っても、この広告ばかり!

「強敵のいない地方都市」から攻める戦略

実はこのOPPOとVivo、AppleやHuaweiに比べて後発であったため、とった戦略というのは、「地方都市から攻める」というものでした。

現在の大都市における派手な広告は、つい最近になって出てきたものです。

中国では、人口規模や所得水準などによって都市がランキングされていることは、ご存知の方もいると思います。

上海や北京などの大都市は、Tier1としてランキングされており、そういった大都市圏が、これまでのスマホ販売の主戦場でした。

大きなメーカーがリアル店舗を通して激戦を広げ、勝った負けたを繰り返していたのです。

Xiaomi (シャオミ)はオンライン販売戦略で成功

そこに出てきたのが、Xiaomiです。

後発として、どうすれば先発メーカーからシェアを奪うことができるのか?

そこでとった手段が、オンラインマーケティングで若者たちに徹底的にブランドの魅力を訴求し、かつ、オンラインストアを徹底的に改良することで、クールさをアピールしました。

結果として、大都市の若者層を引きつけることに成功したのです。

ひたすら競争を避けたOPPOとVivo

これに対して、さらに後発となるOPPOとVivo。

大都市で戦うには、あまりにも激戦すぎる。とにかく競争は避けたい。

そしてリアル店舗はもちろんのこと、オンライン店舗のコンセプトもすでにXiaomiに牛耳られています。

どこか、まだ競争が緩いところに行かなければいけない。

というわけで、Tier2以下の、小中規模都市に出て行き、リアル店舗を出店することにしたのです。

そのような小中規模都市の消費者は、まだまだリアル店舗に信頼を見出すため、それがヒットしました。

また、小中規模都市といえども、広大な中国において、その総数たるや、非常に大きなものがあります。

そして、大都市に追いつけと、ぐんぐんと経済成長を果たしている中、OPPOとVivoがその小中規模都市の急成長に乗っかっていきました。

こうして、先発メーカーらが力を入れていない、成長著しい、郊外の小中規模都市において、ブルドーザー式に販売台数を伸ばしていったのです。

店舗の様子

店舗はこんな感じで、まあ、普通でこれといった特徴は無いです。

 

主力製品の様子

肝心の主力製品R9s・R9sPlusは、iPhone6sにそっくりですね。

製品名のロゴも、そのまんま。。。

インターフェースも、特に変わったものではありません。

しかし、価格が安いです!

2016年当時、R9sは2799元 (409USD相当) 、R9sPlusは3499元 (508USD相当) 。

AppleのiPhone相当機種の中国販売価格に比べると、半額程度です。

さらなる廉価版 (1299元、188USD相当)もあり、中小都市の低所得者でも手が出るようなモデルも販売していました。

顧客に訴求するメッセージが練られている

しかし、安いだけでは、これほど爆発的に売れることはありません。

中国では、いかなる製品でも、海賊版は山ほどありますが、安いだけでは売れないものです。

そこでとられたマーケティングメッセージが、よく練られています。

OPPO:「急速充電!」

Vivo:「キレイに撮れるカメラと、音楽を楽しむための高品質スピーカー!」

充電5分、通話2時間

 

Camera & Music

 

顧客の悩み1:スマホ電池の充電切れ

実際に、現在の中国におけるスマホユーザーを見ると、一日中、スマホを使っているために、すぐに電池切れが起きているようです。

そこで、みんな、「パワーバンク」と呼ばれるポータブルの充電池を持ち歩いています。いわゆる携帯充電池のことです。

それはまさにPain Point (ペインポイント、解決してほしい悩み) です。

であれば、「たった5分の充電で、2時間の通話ができます!」というメッセージを送ることによって、消費者の興味を引きつけることができるのです。

顧客の悩み3:カメラ機能と音楽機能に満足できない

また、他のスマホユーザーの特徴として、カメラ機能や音楽機能がよく使われていることが挙げられます。

それであれば、自分たちのスマホは、良いカメラがついていて、音の品質も優れていると訴えれば、消費者の心の中に簡単に届いていくのです。

ユニークなメッセージを出すことが大事

店頭で実際に製品を触ってみましたが、他のメーカーのスマホと比べて、特に違いは分かりませんでした。

正直、充電速度もカメラやスピーカーの品質も、それほど変わらないのではないかと思います。

比較データも、見当たりません。

しかし、ユーザーが一番気になっているポイントを正しく把握し、それらへのユニークなアプローチを言葉に出してピンポイントで伝えてあげることで、これほどまでに、消費者の関心を集めることができるのです。

学びのまとめ

先発大手メーカーがTier1大都市で激戦を広げているのならば、自分たちはTier2以下の小中規模都市で勝負を進める。

[jin-iconbox03]戦う場所を選ぶことの大切さ[/jin-iconbox03]

消費者が、充電時間に不満を感じ、カメラ機能や音楽機能を多用しているのであれば、それらの機能について重点的にアピールする。

[jin-iconbox03]メッセージを絞り込むことの大切さ[/jin-iconbox03]

こういったことを、OPPOとVivoの大躍進から学ぶことができます。

まさに「戦略」。言葉の語源通り、「戦いを省く」工夫をしています。

 

2016年、ついに販売台数で1位と3位を獲得した両ブランドは今、これまでの戦略を大幅に改めて、Tier1大都市への出店を強力に推し進めています。

さらに、空港など、もっとも訴求力のある場所への広告投資も重ねており、一気呵成に先発大手メーカーのシェアを奪い取っている真っ最中です。

もし、最初からこのようなシナリオを描いていたとしたら、すごいものです。ため息が出ちゃいますね。

たとえ、製品そのもので差別化できないとしても、売り方で勝負ができる。そんなことを、OPPO・Vivoから学べます。

 

中国ビジネスのスピードには、目を見張るものがあります。その変化を自分の目で見てくると、そのリアルなインパクトを感じることが出来ます。

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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