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過重・長時間労働は広告業界だけではない。【異変を感じたら逃げて】

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電通の新入社員の方(2015年末当時24)が、長時間の過重労働を原因として自殺をしたというニュースが流れています。

ご本人のツイッターへの投稿内容にも、

「何日も寝ていない。」

「会社に泊まりこみ。」

「土日も出勤。」

「いくらやっても、上司からはダメ出し。」

「女子力無いと言われた。」

「仕事を手伝ってもらうと、見返り(性的?)を要求される。」

など、読んでいるだけで胸が苦しくなるものばかり。

ただただ、辛かったと思います。ご冥福をお祈りします。

過重・長時間労働は広告業界だけではない。【異変を感じたら逃げて】

本件に関して労働基準監督署が認定した、1ヶ月の時間外労働は105時間らしいですが、実際はもっと多かったはずです。

簡単な計算をすれば、すぐに分かります。

月曜日から金曜日までの平日で、夕方6時から夜中の12時まで残業しただけで、120時間 (6時間/日x20/)

12時に帰れれば早い方だっただろうし、土日も毎週出勤していただろうから、ゆうに残業200時間/月は越えているはず。

「食事休憩の時間は差し引いて計算すると、云々」だなんて悠長なことを言っている場合ではありません。

こういうところで働いている方は、すぐにでも脱出プランを考えましょう。

頭が働かなくなる前に。

長時間労働はどこの業界・会社でも起きている

今回こうして、電通、そして広告業界の企業文化にスポットライトが当たっていますが、同じような長時間の過重労働は、他の業界でもよく見受けられることです。

これを読んでくださっているあなたにも、心当たりがあるのではないでしょうか。

なぜそう断言できるかというと、ぼくにも長時間労働に苦しんだ経験があるからです。

長時間労働の日々

8時に出社をし、オフィスを出るのは午前様。

毎日、なんとか朝に起きて出社し続けることが、自分にとっての「生きる」ということでした。

週末も出社しますし、たとえオフィスにいなかったとしても、頭の中はたまった仕事のことでいっぱいで、四六時中、いやな気持ちを心の中にかかえていました。

そのような状況になると、思考能力・判断能力が低下して、自分でもわけがわからなくなってきます。

なんとか立ち続けるために、

「自分に負けてはいけない。」

「逃げてはいけない。」

「みんなもがんばっているから。」

と、自分に言い聞かせるしかありません。

なんのために働いているのかなんて、分かりません。

考えようとしても、頭が働きません。

頭が働かないので、仕事もいっこうに片付きません。

仕事が片付かないと、家にも帰れません。

ただただ、いやでいやでしかたない。

いったい、あと何年がまんをすれば、良くなるのか? 

ストレスが積み重なり、顔面が痙攣して止まらなくなりました。

症状がひどくなり、それを見られたくないものだから、上司や同僚の顔をまともに見られなくなったときもありました。

先輩の優しさを素直に受け入れられないくらいに疲弊

そんな自分にたいして、「無理するな。」と温かい言葉をかけてくれる先輩がいました。

ぼくの顔色を見れば、精神的に疲れていることなど一目瞭然だったのでしょう。

でも問題は、ぼくがその言葉を素直に受け入れられないことでした。

「仕事を途中で投げ出してはいけない。」

「あと少し、あと少しやれば、自分のスキルが上がり、仕事を早くこなせるようになるはず。」

「上司や先輩たちも、みんな同じような道を通ってきているから、きっとそれが正しいやり方。」

「もう少しだけ、やってみます。」と。

しかし問題は、がまんを続けているうちに、少しずつ、少しずつ、心がむしばまれ、疲弊していくことです

「逃げてもいいんだよ。」だなんて言われても、本人には、どこのタイミングで声を上げればよいのかが分かりません。

逃げるべきポイントも分かりません。

がまんを続けて、気がついたときには、もう遅いのです。

責任感から、「もう少しだけ、もう少しだけ。」と言っているうちに、自分でも気づいていなかった一線を越えてしまうのです。

判断力が著しく低下

「逃げてもいい。」ということは、まだ心が大丈夫なうちには理解ができます。

でも疲れてくると、どこまで来ると逃げるポイントなのかが分からなくなります。

心身が疲れてくると、判断能力が著しく低下するからです。

実際、ぼくが当時一緒に働いていた人たちの多くも、大なり小なり、心に問題を抱えています。

病んでしまった人もいますし、ぼくのように運よく抜け出した人もいますし、「このまま、がまんし続けていれば、いつか良くなるはず。」と信じて、いまだにがまんし続けている人もいます。その中には、あきらめた人たちもいます。

今回の不幸は電通で起こりましたが、この方を業務指導していた上司だって、そのまた上司だって、毎日、がまんをしながら、何かに怯えてビクビクしながら、毎日の仕事に向かっていたのではないかと、ぼくは想像します。

自分の部下にこんな思いをさせてしまう上司の心こそが、病んでいると思うのです。

自分の限界に挑戦することは悪いことではない。ただしそれは自分で決めること。

仕事のみならず、悩み苦しみ、迷う経験というものは、かけがえのないものです。

そういう時間の中でこそ、自分の成長を得られることが往々にしてあります。

修羅場経験が自分を成長させてくれるとも言いますが、それは本当だと思います。

よって、辛い経験それ自体を否定することもできません。

しかし、ぼくたちが心にとどめておかなければいけないことは、「行き過ぎ・やり過ぎは危険」だということ。

しかも、その限度は、人によってさまざまであり、自分の尺度が他人にも当てはまるわけではないことも、忘れてはいけません。

「自分はこうだったから、お前もやれ。」は、絶対に、ダメ。

自分の限界に挑戦するのは、自分の意志で行うべきもの。

他人からの押しつけは不要であり、なにより、不適切です。

そして、疲れてしまった本人は、何も悪くありません。絶対に、責められるべきではない。

この方のお母さまも訴えているとおり、命よりも大切な仕事などありません。

 

アメリカのトップMBAを取得し、卒業後にアメリカ企業本社の幹部候補生として採用されたノウハウを紹介しています。

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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