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エッセンシャル思考 (その4):「どうしても重要!」と言えないものはすべて、やめる、切る、捨てる!

前回に引き続き、厳しいレッスンが続きます。しっかり腹をくくって当たらないと、何も解決されないでしょう。自分の中では薄々気づいていることがあります。大して面白くもないし、満足度も高くないのに、ダラダラと続けているようなことが。そろそろ、そんなことに時間を費やすことはやめましょうか。

Eliminate (捨てる)

「自分は何に最も多くの時間と労力を割くか?」という決断をすることは当然重要なのですが、それだけでは足りません。それと同時に、「何を捨てるか?やめるか?」という決断も下さないといけないのです。本テーマ1回目で紹介した、テレビのリモコンがそうでしたね。そうです、不要なものは積極的に捨てないと、重要なものですら価値を失ってしまうのです。

でも、「もしかしたら後になって必要になるかもしれない?」なんて不安がもたげてくるもの。特に、家の中の片付けなんかをしていると、よく感じます。そういうことに限って、過去に労力を払って手に入れたものであるケースが多いです。これはどういうことかというと、すでに自分がリソースを費やして手に入れたものに特別な価値を感じるという、人間の持つサンクコスト・バイアス (埋没費用) です。

そんな時こそ、自分に聞いてあげましょう。「もし、それを今は持っていないとして、今から手に入れるためにどれだけの時間と費用を費やす意欲があるか?」と。その答えが、「何が何でも必ず手に入れる!」であればキープしておけば良いですが、「う〜ん。」と少しでも悩むくらいなら、捨てましょう、ということです。

Clarify (明確化する)

自分の中の軸をもつためには、目標やゴールを、できるだけ具体的かつやる気が出てくるようなものが良いと言います。これを会社組織に置き換えると分かりやすいのですが、「私たちは、健全な利益率を保ちつつ、できるだけ多くの顧客とステークホルダーのニーズに応えるべく、あらゆる市場でリーダーとなることを目指します。」なんて言われても、正直、「なんのこっちゃ?」ですよね?このように、見ている先が曖昧になると、その組織のメンバーたちは社内政治に走ったり、真に重要ではないことに手を出したりして、結局、何も成し得ません。

一つのやり方は、「やらないことを明確にする」ことです。「やらないこと」を次々に切っていくと、「どうしても切れないこと」、つまりは「必ずやらなければいけないこと」が浮き彫りになってきます。そして、それが具体的であればあるほど、やる気も湧いてくるし、達成に向けてまっすぐに走れるようになるのです。

Dare (勇気を出して断る)

誰かに何かを頼まれた時、「No」と言うことは、非常に心が痛みます。自分に期待をしてくれて依頼してくれているその相手を傷つけたくないからです。でも、エッセンシャルとなり、自分にとって真に大切なことに向き合うのであれば、自分の軸に合わないことはしっかりと断らなければいけません。もちろん、感謝の気持ちを表しつつ、丁寧に。「大変ありがたいお申し入れですが、」とか「とても残念ながら、今は他のことですでに手がいっぱいになっておりまして、」など、相手を気遣った言い方をすれば、関係を悪くせずに理解をしてもらうことができます。

Uncommit (一度コミットしたことをリセットする)

昔からずっと続けていることでも、時とともにその重要性に変化が出てくることはおかしなことではありません。「今までずっとこのやり方だったから」としがみつく必要はなく、もっと良いやり方があるならば、柔軟に変化していくことが大切です。ここでも人間のサンクコスト・バイアス (埋没費用) が悪さをしていて、過去に手に入れたものを手放したくない気持ちでいっぱいになりますが、勇気を出しましょう。

自分の持ち物だけに異様に固執することを皮肉るものですが、「レンタカーを洗車した人は、これまで誰もいない。」ということを考えれば分かります。そのレンタカーを使っているのは自分であるにもかかわらず、その持ち主が自分か他人かという違いだけで、洗車をしなくなるわけです。逆に言えば、本当はそんなに価値を感じていないことでも、「自分のものだから」という理由だけで、無理にしがみついてしまっていることが、山ほどあるはず、ということです。どうしても重要でない限り、さっさと手放しましょう。

Edit (編集する)

アカデミー賞でいつも一番に注目されるのは、ベスト作品賞ですが、実はそれに大きな相関関係を持つものが、編集賞です。つまり、上手に編集されている映画ほど、ベスト作品賞を受賞する確率が高くなっている、というわけです。

この編集という作業の主な仕事は、「大事な箇所だけ残し、残りを切り捨てる」ことです。観客が見るべきシーンだけに集中してもらうには、余計なシーンを切り捨てないと、メッセージやストーリーがぼやけてしまいます。だから、余計なものは、徹底的に切り捨てるのです。観客が椅子にゆったりと座ってポップコーンをつまみながらでも簡単に理解出来るストーリーに磨き上げるには、重要でないものはすべて切り落とさないと、それが達成できないわけです。

決断することを、英語でdecisionと言います。この語源はラテン語から来ていて、元は、「切り落とす」「殺す」という意味です。漢字の決断だって、洪水が起きた時、あるエリアを守るために、他のエリアを犠牲にする決定をしたことが由来していると言います。(情報源)

Limit (境界線を作る)

「イノベーションのジレンマ」で有名な、クレイトン・クリステンセン教授の有名な逸話。その昔、彼がコンサルティングファームで働いていた時のこと。業務が繁忙期にプロジェクトリーダーが彼の元にやってきて、「今週は土曜日に出勤してほしい。」と言ってきました。その時のクリステンセン教授の回答は、「申し訳ないですが、土曜日は家族との時間なので。」それに対し、リーダーは、「じゃあ、日曜日にしよう。」するとクリステンセン教授は、「ごめんなさい、日曜日は神様に捧げることに決めています。」と。その時のリーダーや同僚たちを短期的には苛立たせることになったのですが、クリステンセン教授の中では自分にとって大事なことが明確で、逆に仕事に集中出来る時間をしっかりと作っていたのです。結果として、後になって、その時のリーダーや同僚たちからもリスペクトを得ることとなります。

自分で、自分の周りに境界線を作ってあげれば、仕事や考え事に集中する時間や空間を作ることができます。そして、境界線を作るということは、「自分はこれには関わらない。」と決めることでもあるのです。

続きは次回。