エッセンシャル思考 (その3):どうしてもこれがやりたい!と思えるものにしか、手を出してはいけない
ぼくみたいに色んなことに興味を持ちやすい人には、非常にズッシリと効いてくる学びです。「どうしてもこれがやりたい!」と思えるものにしか、手を出してはいけないというのです。「あ、それ、良さそう〜」ぐらいの気持ちしか感じられないようなことは、棄て去りなさい、と。いやぁ、簡単ではないですね。練習していきます。
Explore (最重要なものだけを見分ける)
実はエッセンシャル思考の人ほど、行動に着手する前に、できるだけ多くの可能性を探り、できるだけ多くの選択肢を吟味しているといいます。対して、非・エッセンシャル思考の人は、少しでも良さそうなものが目の前にあると、すぐに飛びついてしまい、結果として時間を浪費してしまいます。
そして、しっかりと、多くの可能性を探り、多くの選択肢を吟味するには、集中できる時間や場所・空間が必要になるとのこと。もちろん、判断の基準となる、自分の中での軸を育て、保ち続けることだって必要です。
いつも忙しそうにしているほど、こういうことが出来ていないので、結果として本質的に重要なことは何も成し得ない、というわけです。
Escape (忙しさから距離を置く)
「徹底的に一人になる時間を持たない限り、素晴らしい作品など作れない。」とは、パブロ・ピカソの残した言葉。
エッセンシャル思考の人は、自分一人だけの空間や時間を捻出することに余念がありません。電話もメールも遮断し、誰からも邪魔をされない時間を作り、そこで考えることに専念するのです。マイクロソフトの元CEOであったビル・ゲイツだって、「Think Week (考える週)」というものを意図的に取り、どんなに忙しくても仕事を離れ、その間は読書や考えることにふけっていたと言います。
忙しいからといって、一人でじっくりと考える時間を取らない限り、その忙しさはいつまでたっても解消しないし、非効率的な時間の過ごし方から逃れられないというわけです。
Look (大局観をもつ)
エッセンシャル思考の人は、目の前で起きたことだけにとらわれず、大局観をもつことを考えます。誰かが何かを言っていたら、言われていないことにも注意し、そこで何が起きているのか、全体像を想像するのです。何か問題が起きたら、その問題を解決することだけを考えるのではなく、問題が起きるきっかけとなった原因を突き止めることを考えるのです。
このように大局観をもてるようになるために、いくつかのことを勧めています。それは、日記をつける、現場に出かける、一般的に気にかけないようなことに注意を払う、「なぜ?なぜ?」と本質を考えるクセをつける、といったことです。これらも決して完璧にやる必要はなく、まずは続けて習慣化させることが大事であるとのこと。
Play (遊ぶ)
これもよく言われることですが、想像力や創造力を鍛えるためには、遊ぶことが一番です。また、遊ぶことは、考えることの大敵であるストレスを軽減してくれる働きもしてくれます。さらに、脳の中の、「計画する、優先順位をつける、予想する、分析する、決断する」といった重要な機能に対しても、遊びが好影響を与えることが分かっています。
だから、よく遊びましょう、仕事の中にも遊びを取り入れましょう、ということです。ソーシャルネットワークサービスのツイッターでは、社内で即興劇の練習を取り入れるなどして、遊びを取り入れているとのこと。これはまさに、ぼくがMBAの授業で取り組んだことと同じです。
この本には書かれていないことですが、ぼくたちが幼い頃に遊んだ「かくれんぼ」という遊びも、脳や感覚の力を鍛えるには良いそうですよ。覚えていますか?自分が鬼の時、「目には見えていないのに、どうもあの壁の後ろに誰かが隠れていそうな気がする。」というあの感覚を。あれも、人間の能力であり、空間を認知する力のひとつなんですよね。
Sleep (睡眠)
これを苦手としている人が結構多いかもしれません。真面目で努力家であればあるほど、睡眠時間を削る方向にないでしょうか?
そうです、ちゃんと寝ないとダメです。もちろん、最適な睡眠時間というのは人それぞれでしょうが、一般的に、睡眠時間が7時間を切ると、翌日は脳が機能しなくなるといいます。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスだって、最低7時間は寝ないと、仕事に支障が出ると言っています。ぼくも毎日、最低7時間は寝るように心がけています。
「自分は7時間以下の睡眠でも、バリバリ仕事ができる。」と考えるのではなく、「睡眠時間を増やせば、もっと効率的に仕事ができるようになる。」と考えることが、エッセンシャルというわけです。
Select (選ぶ)
ぼくにとって、これが今回の肝ですが、「どうしてもこれがやりたい!」と思えるほどのものでなければ、手を出してはいけないというのです。目の前にいくつもアイディアや選択肢が転がっていたとしたら、それぞれに100点満点で魅力度の点数をつけてあげるのです。50点のものもあれば、80点のものもあるでしょう。しかし著者は言います。「90点以上のもの以外は、すべて捨ててしまおう!」と。
人材採用が良い例でしょう。「この人なら、貢献してくれそうだな。」というレベルの基準ではなく、「絶対にこの人がいい!」という基準で判断をするべき、ということです。
これを可能にするには、自分の中で基準となる軸を持つことが必要であり、その軸を育てるためには、やはり一人でじっくりと考え込める、時間や空間が必要である、ということですね。
続きは次回。