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キャリア

経営者に求められるスキルと資質。将来、社長やCEOを目指す人へ。

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将来、社長やCEO、いわゆる経営者になることを目指している方の中には、経営者に求められるスキルや資質とは何だろう?と考えている人がいると思います。

もちろん、必要となるスキルや資質といっても、成功している経営者たちはみなさん、十人十色でしょう。

世界的に著名なコンサルティング会社、マッキンゼーの発行するレポートが非常に参考になるので、紹介させていただきます。

これを読むことで、将来、自分が経営者になるために、その練習や準備を今から進めていくことができるようになります。

非常にハイレベルですが、日頃マネジメントをしている方には、パフォーマンス向上に直結しそうな考え方を学べます。

経営者に求められるスキルと資質。将来、社長やCEOを目指す人へ。

マッキンゼーが世界中の著名経営者たちをリサーチしてまとめあげているのが、「The mindsets and practices of excellent CEOs (卓越したCEOたちがもつ、マインドセットや行動)」というレポートです。

そのポイントが、こちら。

  1. 事業戦略・コーポレートストラテジー
  2. 組織構築と人材配置
  3. チームワーク構築と意思決定
  4. ボード・取締役会との関わり
  5. 外部ステークホルダーとの関わり
  6. 個人の働き方とリーダーシップ

言葉は難しいですが、それぞれどういうことか、順番に見ていきましょう。

経営者に求められる、6つの役割

1. 事業戦略・コーポレートストラテジー

勝つためのビジョンを再定義する

まず、事業戦略を立てることの重要性に異論を唱える人はいないでしょうが、卓越した社長やCEOが具体的にどういうことをしているかというと、企業経営で勝つビジョンやストーリーを再定義することから始めます。

たとえば、「製造業の会社が、その製造業界の中で一番になる」ことを目指すのではなく、「ある分野において、全業界の中でトップになる」ことを目指すよう、視点をずらします。

もちろん、自社の強みなどを考慮した上で行いますが、視点を変えることによって、人材獲得や利益率向上など、あらゆるメリットを享受することができるとのこと。

これは、最近の自動車会社が、「クルマづくりで一番になる」というビジョンから、「モビリティサービスで一番になる」というビジョンにシフトしている例が当てはまりそうですね。

そうすることで、これまでクルマというハードを中心に勝負をしてきたことから、ソフトを含めたサービスで戦っていくよう、戦い方の再定義をしている事例でしょう。

新しいビジョンを実行するための変革を行う

いざビジョンを再定義すると、それに合わせた変革を行っていく必要があります。

変革といっても、社内外に影響するもので多岐に渡りますが、「その変革は、どれくらい大胆に行われるべきか?」ということにマッキンゼーが言及しています。

いわく、「大胆とは、業界平均の30%以上の変革を行うことだ」と。

さらに、それくらい大胆な変革を1つか2つ行う会社は、業界の中間層を抜け出てトップグループに入る可能性が2倍に上がる。3つ以上行う会社は、その可能性が6倍に上がるとのこと。

自分の普段の業務を考えてみても、30%以上を変えてしまうということは、とんでもなく大きな変化です。あなたもそう思いませんか?

さらにそれを矢継ぎ早に繰り返していくことは、並大抵ではありません。

もちろん、コツコツと継続的な改善を積み上げることも重要ですが、合わせて、大きな仕事の見直しも繰り返していかなければ仕事が陳腐化してしまうわけで、それへの対策なのでしょう。

さらに、開発や設備などに対する投資、資金の割り振りについても、積極的に見直しをかけていくようです。

過去10年の間に、お金の使い方を50%以上変えた会社の方が、大きく変えなかった会社に比べて、よほど企業価値が高まっているとのこと。

また、 1年に1度などというゆっくりとしたペースではなく、通年で定期的に見直しをかけているそうです。

2. 組織構築と人材配置

優秀な人材を引き上げ、パフォーマンスの悪い人材は降格させる

平凡な戦略をもつ素晴らしい人材グループが、素晴らしい戦略をもつ平凡な人材グループに勝るとは、よく言われること。

それだけ、企業経営には人材が大事であるということです。

人によっては、その大切さから、「人財」とまで表現する人もいますね。

なお、卓越したCEOたちに後悔した経験を聞くと、「パフォーマンスの悪い人材を、もっと早く降格させておけばよかった。」というものが最も多いらしいです。

リーダーシップポジションを整理する

最初に行うべきは、その企業に必要となるリーダーシップポジションを整理し明確にすること。

その上で、それらのポジションや役割を担うべき人材を配置することです。

さらには、将来にわたってそれらのポジションにふさわしい人材が揃っているよう、人材開発を定期的に進め、人材パイプラインを豊かに保っておくことが重要とのこと。

もちろんそこには社長やCEO本人の椅子も含まれているべきで、そこまでしてようやく取締役会にとっても満足いく内容となるのです。

組織カルチャーを作り直す

次に、組織カルチャーがビジョンや目標と深くつながるように仕組みます。

外資系企業などでよく取り組まれるような、従業員エンゲージメント調査と改善活動のみならず、幹部からの定期コミュニケーション、インセンティブの仕組み改善、スキル開発など、様々な取り組みを通じて、組織カルチャーにテコ入れを行います。

早いスピードで変革する

さらに、英語で「Agility アジリティ」と呼ばれる、変革スピードにも優れているのですが、卓越したリーダーは、ただスピーディーに変革を続けるだけではないようです。

その中で、何を変えて、何を変えないかを明確にすることが大切とのことで、それによって従業員たちの動きやすさを促進し、組織全体の変革スピードが加速される秘訣とのことです。

3. チームワーク構築と意思決定

強いチームワークを構築する

どれだけ素晴らしい戦略や仕組みを整え、さらには素晴らしい人材配置に成功したとしても、そこにチームワークが機能しなければ、狙った通りの効果は出ません

人間ですから、どうしても人間関係から綻びが生まれることがあるのです。

そこでまず、トップマネジメントチームをはじめとして、幹部メンバーたちがチームワークを第一に業務に取り組むよう、促します。

個々人の目標や利益を優先させるような行動を謹まさせ、全員が同じチーム目標に向かわせるような仕組みを作ります。

また、定期的なチームミーティングを行ったり、個別ミーティングを行ったりと、あらゆる手を尽くして、メンバーたちが同じチーム目標に向かうように方向付けを行うのです。

意思決定の方法も見直す

リーダーの仕事は意思決定の連続ですが、その時に、どれだけ偏見やバイアスを取り除けられるかが鍵となります。

人間は誰ひとりとして、偏見やバイアスをもつことから逃れることができません。社長やCEOであっても、必ず無意識に偏見やバイアスを抱えているのです。

そこで、それを自分で認識し、その上で意思決定を行うようにします。

この際、チームに多様性・ダイバーシティーをもたせることによって、バランスのとれた意思決定を行えるようになる確率が上がります。

最近では、企業内に多様性やダイバーシティーをもたせ、それを増やす努力をしている会社が増えていますが、納得の取り組みでしょう。

マネジメントプロセスを徹底する

マネジメントプロセスや管理手法についても、それぞれのメンバーたちの業務が組織目標達成のための施策に沿っていることを確かめるものとなります。

権限移譲は積極的に行うものの、短期的な視点のみならず長期的な視点でも取り組まれていること、担当業務の利益最大化のみならず組織全体の利益最大化が図られていることなどが円滑に進むよう、しっかりと仕組みづくりを行っていきます。

ここまでしてようやく、チームが組織全体の目標達成に向けて機能しはじめるということですね。

4. ボード・取締役会との関わり

「ボード」や「取締役会」と聞くと、「そんな人たちは、自分の周りにはいません。」と感じるかもしれません。

その場合は、自分の上司やメンターなど、自分の長期的・持続的な成長をサポート・応援してくれる人、と読みかえましょう。

なぜなら、ボード・取締役会の役割とは、その会社が長期的・持続的に価値や利益を創造し続けられるよう、ガバナンスを行うことだからです。

時にはボードメンバーたちが「必要悪」を演じてくれ、会社の間違った意思決定を諫めてくれることもあります。

当然ながら、そのボードメンバーとの関わりにおいても、社長やCEOは重要な役割を担います。

ボードメンバーたちを積極的に巻き込む

ボードや取締役会というと、内部監査やリーガルリスクの管理などを期待されることが一般的ですが、卓越した社長やCEOたちは、そのボードメンバーたちを積極的に巻き込みます

事業戦略やM&A案件、そして次世代リーダー開発計画まで、その会社が長期的に発展するために必要な施策に対して、ボードメンバーたちにも積極的に考えさせ、意見を出してもらうようにするのです。

これによって、よりダイナミックで確実性の高い意思決定を行えるようになります。

さらにそういったディスカッションは、既定の会議内だけで済まされることなく、より深い議論につなげられるようにします。

卓越した社長やCEOであれば、個別にミーティングをもつこともしますし、他の幹部メンバーと、それらボードメンバーたちが議論を行うような場ですら設けてしまいます。

そうすることによって、ボードメンバーたちが、その会社のおかれた状況をより正しく理解し、優先度をつけながら意思決定できるように手助けするのです。

新しいボードメンバーも、積極的に巻き込む

そしてボードメンバーが変わっても、すぐに会社の意思決定やガバナンスに貢献してもらえるよう、業界や技術の動向を含む、導入イントロダクションを提供します。

そして何より、それぞれのボードメンバーたちのもつ個別の強みを活かしてアドバイスをしてくれるように頼むのです。

私自身、ボードメンバーや取締役会との関わりなど、本当に社長やCEOになってみないことには想像がつきません。

しかし、「ボード」や「取締役会」という言葉を、「上司」や「メンター」という言葉に変えると、納得がいきます。

上司は自分を監督するためだけに存在するのではありません。

いわば上司は、その組織の価値を拡大するために、同じ船に乗った仲間でもあるのです。

であるならば、上司の知見をフル活用し、自分の担当業務のパフォーマンス向上につなげることこそが、上司との関係で目指すべき姿勢となるでしょう。

5. 外部ステークホルダーとの関わり

ミッションやバリューを発信する

今の時代、どのような会社でも、ミッションやバリューといった企業活動のお題目を掲げるところがほとんどです。

しかし、卓越した社長やCEOは、もう一歩踏み込んで、「Why? なぜその企業活動が社会にとって必要か?」という点を明確にし、顧客やその他の外部ステークホルダーへ効果的に訴えるようにします。

そうすることで、それら外部ステークホルダーたちとの関係性を円滑にたもとうとするのです。

共感してもらえるようなメッセージを考える

この「Why? なぜその企業活動が社会にとって必要か?」の部分を整理するには、引いて考えることが大切です。

CSR (コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ、企業の社会的責任) が問われるようになって久しいですが、なにかチャリティーを行ったり寄付を行ったりするくらいでは十分ではないと、卓越した社長やCEOたちは考えます。

「人々の生活品質を改善する」や「固有技術で環境負荷を減らす」など、顧客たちが共感しやすいメッセージを作り上げるのです。

現に、「自分が大事にする価値観に近い活動をしている企業から購入するようにしている。」という顧客が全体の87%にも及ぶようです。

誰とコミュニケーションすべきか、優先順位をつけて進める

顧客であれ投資家であれ、そういった外部ステークホルダーたちのコミュニケーションも見過ごせません。

しかし、全員のために時間を作ることは現実的ではないので、優先順位をつけることが大切であると説きます。

卓越した社長やCEOたちは、明確な優先順位をつけた上、その順位の高いステークホルダーたちのためには積極的に時間を費やすようにしています。

危機に備える

さらに彼ら彼女らは、常に危機に備えることも忘れません。

景気変動など危機は起きるものですが、起きた後には、過去よりもより素早く効果的に対応できるように準備できるようにしておくのも、またそういった卓越したリーダーたちです。

6. 個人の働き方とリーダーシップ

社長やCEOたちの毎日は、楽しいことばかりではないでしょう。ほとんどの場合、孤独、フラストレーション、イライラ、疲労、といったものばかり。

次から次へと押し寄せる、山のような仕事に押しつぶされる気持ちになっていてもおかしくありません。

そんな時、卓越したリーダーたちは、どのように自分を保ち、どのように効果的なリーダーシップを発揮しているのか。

時間やエネルギーの管理に気を配る

まず、時間とエネルギーの管理に注意を払います。

会議依頼は次から次に入るものですが、自分が一人で思考を巡らせるための時間も確保するなど、時間管理を徹底します。

また、意思決定の連続には非常に大きなエネルギーが必要なので、それを回復させるための時間も積極的に設けられます。

多くの場合、家族や友達との時間、運動や読書の時間、そして瞑想など精神統一の時間が求められます。

経営者の仕事は、すぐに燃え尽きてしまいやすいものですが、マラソンのように長期間にわたって活躍するためにこそ、積極的に休息の時間をとる必要があります。

リーダーシップスタイルについては、「役割として求められること」と「自分自身らしさ」とを両立できるように心がけます。

その時、「自分はどのようなレガシーを残したいか?」「自分は他人からどのようなリーダーとして見られるべきか?」などと自問自答しながら考え続けるわけですが、つまるところ、自分自身らしくあることが大切になります。

過信や傲慢さを戒める

リーダーたちにとって、自信過剰になることは大敵です。

常に、自分に直言してくれる部下をもつこと。

仕事の外での一般人としての自分の価値にも思考を巡らせること。

いつでも謙虚でいること。

こういったことが非常に重要となるのです。

 

将来、社長やCEOを目指すなら、今から練習が必要

以上、6つの役割と、それらで求められるマインドセットや行動を紹介させていただきました。いかがでしょうか?

日々、こういったことを行っている社長やCEOの職にある人たちは、本当に大したものだと思います。

ひるがえって自分自身を見つめてみると、満足にできていることなど、ほとんどありません。

だからこそ、思うのです。

「こういったことは社長やCEOになったら急にできるようになるものではなく、担当やマネジャーレベルの時から何度も繰り返して訓練していかなければ身につかないもの」だと。

 

参照記事:

「The mindsets and practices of excellent CEOs (October, 2019 | McKinsey & Company)」

 

 

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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