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『Stew Leonard’s』食品スーパー界のディズニーランド【大人も楽しい!】

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僕が住む地元に、「Stew Leonard’s」という食品スーパーがあります。

英語では、「ストゥー・レナーズ (“レ”にアクセント)」と発音します。

ファーストフードのMcDonald’s (マクドナルド) やWendy’s (ウェンディーズ) なんかと同じで、「Stew Leonardさんのお店」という店名です。

さてこのお店、ビジネスケースとして数多く取り上げられる大人気食品スーパーでして、今回はその特色を紹介します。

小売業のみならず、他の業界も学ぶべき経営哲学の宝庫です。

知る人ぞ知る、世界中の経営者たちが学びに来る、大成功している企業です。

 

『Stew Leonard’s』食品スーパー界のディズニーランドについて

歴史と道のり

Stew Leonard’sの始まりは、1920年代にCharles Leo Leonardがコネチカット州で牛乳配達業を営み始めたことに遡ります。

配達トラックには牛の頭の模型をつけ、配達先の子供達を喜ばせていました

source: 店舗ホームページ

 

60年代に入り、その息子のStew Leonardがビジネスを引き継ぐのですが、モータリゼーションの加速に合わせ、配達型ビジネスから店舗型ビジネスへの転換を図ります。

その時にStewの頭の中にあったのは、「母親たちが買い物をしている間に、子供達が牛乳の瓶詰め工程を見て楽しめるような楽しい空間にしたい!」というものでした。

始めの店舗はたった8品目しか持たない小規模のものでしたが、その後、5店舗 (2016年4月時点) まで拡大し、従業員は約2000人、年間売上高は約$400M (為替110円/$換算で、約440億円)に達するようになったのです。

その間、ずっと家族経営を貫いており、今はStewの息子である、Stew Jr. が経営を指揮しています。

特色と売り

特色はなんといっても、「お店に行くと楽しい!」ことが挙げられます。

ビジネスを始めた頃から、「お客さん、特に子供達が楽しめるように」ということばかりを考えて展開して来た経緯があります。

実際にお店に行くと、これがよく分かります。

入り口:ここから始まります

 

まずお店の作りが、本当にユニークで、なんと「通路が一方通行」なのです。

「合理的じゃない」「取り損ねたものがあった時に戻りにくい」なんて声も聞こえてきそうですが、そんなことよりも、このお店にとっては「楽しい!」ことの方がずっと重要なのです。

そして、その一方通行の通路をたどっていくと、いろいろな仕掛けが待ち構えています。

棚のところどころに「ここを押して!」と書かれたボタンがあるのですが、それを押すと、「バナナ売り場のバナナ」や「牛肉売り場の牛」、そして「卵売り場の鶏」などが歌を歌い出すのです。

他にも、多くの人形たちが歌い踊り、そこを通るお客さんたちを楽しませてくれます。

バナナ売り場

 

牛肉売り場

 

卵売り場

 

Farm Fresh Five という5人組バンド (笑)

 

店内レイアウトコンセプトはディズニーランドからの学び

この作り、どこかで見たことがありませんか?

まさに、ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」みたいではありませんか?

実はこのお店、かのディズニーにも、お客さんを喜ばせる方法を学んでいるんですね。

Bob Iger (ディズニーのCEO) に学んだ時のエピソードも、逆さまに吊るした牛の人形を通じて伝えています。

そこには「Gravity Doesn’t Matter!」と書かれています。(正確には分かりませんが、「重力 (Gravity) だって関係ない。前例にとらわれず、自分たちの信じるポリシーに向かって邁進するのみ。」という意味ではないかと僕は理解しています。)

逆さまの牛

Disneyに学んだエピソード

 

ビジネスケースになる理由

徹底した顧客第一主義

ここのお店の経営哲学の最たるものは、「顧客第一主義!」であることです。

「そんなの、当たり前じゃない?」と思うかもしれませんが、ここまで徹底することは並大抵ではありません。

訪れるお客さんが必ず通る、お店の入り口に石碑が置かれているのですが、書かれている内容を見てください。

入り口にある石碑:経営ポリシーが書かれている

 

「私たちのポリシー」

ルール1:お客さんは常に正しい!

ルール2:「お客さんが間違っている」などと考えることがあれば、ルール1を読み直そう!

いかがですか?

ここアメリカで、株主がどうとか、ステークホルダーがどうとか、ゴチャゴチャしたものは一切ありません。

全ては、顧客中心のビジネスであることが、シンプルかつ明確になっています。

これを玄関入り口に掲げていることで、そこを通るお客さんにも、そこで働く従業員にも、このお店に関わる全員に「顧客第一主義」であることをハッキリと明示しています。

これによって、たとえ日々の業務の中でトラブルが発生したとしても、素早い対応を取ることができます。

「お客さんに満足してもらう」ことに集中すれば良いのですから、いちいち上司や同僚に伺いを立てる必要だってありません。

そして、この顧客第一主義を貫くために、様々な施策が取られています。

 

働きがいのある職場づくり

その代表が、「働きがいのある職場」にすることです。

source: 店舗ホームページ

 

「お店の従業員がやりがいを持って働ける職場でなければ、お客さんに満足してもらえるような店作りはできない!」

「顧客第一だからこそ、働きがいのある職場にする」という順番の考え方なんですね。

その結果、Fortune magazine の「働きがいのある職場ランキング・トップ100」では、毎年、常連として顔を連ねています。

写真左手に堂々と掲げられています

 

STEW企業理念

他にも、STEW の頭文字を取った企業理念もありますが、玄関入り口の石碑に勝るものは無いでしょう。

Satisfy the customer 顧客満足に貢献する

Work together as a Team チームで働く

Strive for Excellence in everything you do すべてにおいて最高を目指す

Get the customer to say Wow お客様に「ワオ!」と言ってもらう

 

そして僕には見えてしまいました、二階の従業員フロアに掲げられた金言の数々が。

天井から吊るされた緑色の看板には、

「子供が行くところに、親もついて行く」

「夢は見るだけで終わらせるな。実現しよう。」

などなど、光り輝いていました。

2階が従業員フロア。写真奥の黄色いものは巨大トウモロコシ!

 

$100以上を買い物するとソフトクリームがもらえます

 

野菜コーナー

 

アボガドは、食べごろに分けて陳列。素晴らしい顧客体験。

 

肉売り場

 

牛肉!

 

シーフード売り場

 

若かりし頃のStewさんです

 

上の方に、従業員を表彰するプレートの数々

 

これは、顧客が世界中でStewの買い物袋の写真を撮るゲーム

 

真ん中のおじさんはエクアドルでゾウガメと

 

真ん中の男性は、エジプトのピラミッド前で

 

おー、日本の方もいました!京都です!

 

業務効率も業界最高クラスを誇る

最後ですが、このお店、業務効率だって良いんですよ。

通常の小売店が1店舗あたり3万点から4万点の販売品目数を抱えているところ、こちらはたったの2千点です。

徹底した顧客目線で、品質が良く、コストパフォーマンスの良いものだけを集めることに努力しているのです。

扱う点数が少ないことによって、管理工数や在庫コストを圧縮することにも成功しています。

 

大人も楽しめるユニークなスーパー!

まぁ、難しい話はともかく、このお店は行くと本当に楽しいんです。

機会があれば皆さんも是非、足を伸ばしてみて下さい!!

 

店舗ホームページ:http://stewleonards.com/

 

 

アメリカのトップMBAを取得し、卒業後にアメリカ企業本社の幹部候補生として採用されたノウハウを紹介しています。

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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