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【体験談】海外MBAは本当にキャリアアップに役立つのか?【解説】

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“よく、MBAはキャリアアップに必要と聞きますが、とくに海外MBAは、将来のキャリアアップのためにどのようなサポートをしてくれるのですか?”

海外MBAがキャリアアップのために役立つとはよく聞きますが、実際、どのように役立つのかはよく分からないという方が多いと思います。

ましてや在学中に、キャリアアップのためにいったいどのようなサポートを提供してくれるのか、興味がある方もいるでしょう。とくに海外MBAは費用も時間も大きな投資となりますから、具体的な情報を必要としている方が多いかもしれません。

本記事では、海外MBAを取得することによって実現するキャリアアップとはどのようなものか、その過程で海外MBAがどのようなサポートをしてくれるのか、具体例や体験談をまじえて紹介します。

本記事のポイント

・海外MBAがキャリアアップのためにサポートしてくれること

・アメリカTop20具体例と体験

・【判断基準】海外MBA取得に迷ったら

ぼく自身、アメリカのTop20とよばれるMBAのひとつに通い、キャリアアップを果たしました。卒業後数年が経った今は、外資系企業の経営職に就いています。

これは、海外MBAを取得していなかったら、絶対につかむことのできなかったものです。とくにMBA在学中に学校スタッフや教授たち、そして卒業生やクラスメートたちからのサポートがなかったら不可能であったと思います。

海外MBAが提供するキャリアアップの機会やサポートはあなたが求めているものかどうかなど、あなたのキャリアゴールに海外MBAが必要かどうかを判断する参考材料になればうれしいです。

 

海外MBAがキャリアアップのためにサポートしてくれること

海外MBAを卒業後のキャリアアップとは、具体的にどのようなものを指しているのか、それを手に入れるために学生たちはどのような日々を過ごしているのか、その実態から紹介します。

そして詳細に入る前にひとつお伝えしたいことは、海外MBAは「就職学校」であると言われているということです。「え、MBAって勉強するところじゃないの?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。

より具体的に言うと、「勉強のための勉強」をするのではなく、「就職や卒業後のキャリアに必要な勉強」を提供してくれる場所がMBAだと理解をすることが必要です。当然ながら、MBAプログラムの軸は就職や卒業後のキャリアを中心として組まれています。

 

海外MBA卒業後の進学先実例

たとえば海外MBAとしてもっともメジャーなアメリカのビジネススクールを卒業した後のことを考えてみましょう。

アメリカ人クラスメートたちの進学先として多いのは、やはりコンサルティングファームや投資銀行といったところになります。どちらも昔から数多くのMBA生たちが進む就職先です。投資銀行についてはリーマンショック以降に人気が落ちてきているとはいえ、それでも高給であるために根強い人気があるのが実態です。

もちろん他の業界に進む人たちも数多く、それらは製薬を中心としたヘルスケア業界GAFAM(Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)に代表されるようなテクノロジー業界などが含まれます。ここ最近ではやはりGAFAMなどのテクノロジー業界に進むMBA生たちが多く、Amazonにいたっては新卒・既卒を問わず、大量のMBAを採用しているという情報がよく伝わってきます。

卒業後に日本に帰国する日本人留学生にいたっても、キャリア進路の傾向はアメリカと似たようなもので、コンサルティングファームやGAFAMなどのテクノロジー業界、そして製薬業界などに進む方が多く見られます。ほとんどがアメリカを中心とした外資系が多いです。

比較的割合が小さくなりますが、日系企業でMBA採用をしている会社もあり、そういったところに進む方たちもいます。

中には自分で起業をしたり、スタートアップ企業に行ったりする方もいますし、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティなどで働く方もいます。

在学中のスケジュールと時間の使い方

海外MBAは「就職学校」であることを先に述べましたが、在学中のスケジュールも、就職活動を中心に組まれています

ぼくが卒業したアメリカのビジネススクールを例に見てみましょう。日本では学校が始まる季節は4月ですが、アメリカでは9月がほとんどです。

1年目の8月

9月に本プログラムがはじまるのですが、希望者は、その準備としてのサマースクールに参加することができます。ぼくが通った学校では、同級生の約8割がサマースクールに参加していました。

本プログラムが始まる前であるサマースクールですでに、英語でレジュメと呼ばれる職務経歴書の書き方や、希望する企業のリサーチ方法など、就職活動に対する指導が始まりましたクラスメートの会話はもっぱら、卒業後の就職先や長期的なキャリア目標についてです。「私はコンサルティングファームに就職したい!」とか「私はヘルスケアでリーダーになりたい!」など、さまざまでした。

1年目の9月

本プログラムがスタートして授業の履修がはじまり、予習や復習、宿題の提出、そして勉強会やボランティア活動といった課外活動などに大忙しとなります。合わせて、レジュメのブラッシュアップ、業界研究や企業のリサーチ、自己アピールの練習などが熱を帯びてきます

1年目の10月〜11月

このあたりで会社説明会がはじまります。会社説明会とは、アメリカの名だたる企業たちが毎日のように学校キャンパスにやってきては、会社の説明をしつつ、学生たちにネットワーキングの機会を与えるものです。

学生たちはリクルーターたちに積極的に自分たち売り込みつつ、企業から来たリクルーターたちもまた、将来性がありそうな学生たちに目星をつけていきます。学生たちは会社説明会で会ったリクルーターたちだけでなく、母校出身の卒業生たちにも毎日のようにコンタクトし、情報を得つつ、自分たちを売り込んでいきます。これはネットワーキングと呼ばれ、あとになってものをいう、非常に大切な活動です。

1年目の12月〜2月

1年目と2年目との間の夏休みの「サマーインターンシップ」の切符をつかむため、各企業たちとの面接がはじまります。面接のことはインタビューと呼ばれ、各企業のリクルーターたちが学校に毎日のように訪れては、一日中、学生たちとインタビューを行います。

学生たちもまた、1日のうちに複数社とインタビューを行うこともめずらしくありません。勉強や課外活動と並行して行うので、疲労やプレッシャーはピークに達しており、就職活動をしているほとんどの学生たちがサマーインターンシップを獲得するためのインタビュー対応を優先させ、勉強や課外活動を犠牲にする頃です。はい、勉強よりも就職活動が優先されます。

1年目の3月〜5月

2月頃までにインターンシップ先が決まっている学生は、ぼくの感覚ですが、7割前後です。残りの学生たちも、なんとかインターンシップ先をつかもうと、悲痛な表情を浮かべながらネットワーキングを続けます。こうして夏休みがはじまるまでにはほとんどの学生が何かしらのインターンシップ先を見つけています。

希望の会社でインターンできる人もいれば、本意ではない会社でインターンを行うことになっている人もいます。夏に向けて意気揚々としている人がいる一方で、「せっかくMBAまで来たのに、希望のインターンシップすらつかめなかった!」と自暴自棄になっている人がいるというわけです。それだけ学生たちにとって、サマーインターンシップ、そして卒業後の進路が、MBAに来た唯一にして最大の目的であるということです。

1年目の6月〜8月

約3カ月間の夏休みにわたって、サマーインターンシップが行われます。プロジェクト内容は企業によってさまざまですが、学生たちの目標はただひとつ、インターンシップが終わった後に「フルタイムオファー」をもらうことです。

インターンシップは短期的な就業経験ですが、このフルタイムオファーとは、MBAを卒業した後に、その企業に採用してもらって働くことを意味します。インターンシップはあくまで途中のステップであり、最大の目標は正式な雇用を意味する、フルタイムオファーを獲得することです。

2年目の9月

インターンシップを行なっていた学生たちが各地から学校に戻ってきます。久しぶりの再会を喜び合うのも束の間、話題は決まっています。「サマーインターンシップ、どうだった!?

それに対して、「最高の経験だった!フルタイムオファーをくれたしね!」と自信満々に鼻の穴を広げながら語り出す人がいる一方で、はなからドヨ〜ンとした雰囲気でインターンシップの結果について聞いてはいけないような人もいます。そういう人には誰も話しかけることができません。

2年目の10月〜12月

サマーインターンシップの興奮冷めやらぬ中、2年目に入った学生たちを対象に「フルタイムインタビュー」というものがはじまります。これは、すでにサマーインターンシップは終わってしまっているので、卒業後の「フルタイム」、正規雇用を前提とした採用活動のことを指します。

サマーインターンシップ先の企業からフルタイムオファーをもらい、それで満足している人はすでに就職活動は終了しています。それに対して、サマーインターンシップがうまくいかなかった人、もしくはサマーインターンシップからフルタイムオファーはもらったものの、それまでとは違う分野に興味がある人たちが、再チャレンジをする機会ともいえます。

2年目の1月〜5月

ここからはエンドレスの就職活動になります。泣いても笑っても5月に卒業をしないといけないので、卒業後の就職先が決まるまでずっと就職活動をすることになります

すでにフルタイムオファーを手に入れて卒業後の就職先が決まっている人は、自分が興味のある旅行に精を出したり、海外経験を求めて交換留学に行ったりします。皮肉なことですが、2年目の1月以降は、クラスメートたちがほとんど学校に来なくなり、校内が急にガランとします。ここからも分かると思いますが、MBAの目的は就職先を決めることであり、勉強は二の次です。

 

海外MBAが在学中にサポートしてくれること

このようにスケジュールを見ていただければ、海外MBA生たちは年がら年中、就職活動に精を出していることが分かると思います。

また、人気ある企業や職種には応募が殺到し、激しい競争となりますので、レジュメの作り込みやインタビューの練習、そしてネットワーキングに励む姿も想像していただけるでしょう。

そしてそこには学生たちの就職実績を上げたいビジネススクール同士の競争もありますから、以下のようなサポートを提供してくれます。

レジュメとカバーレターの添削指導

企業に応募する際、レジュメとカバーレターの提出が必要になります。ほとんどの場合、どこの企業でも募集ポジションはMBA幹部候補職になりますので、当然ながらそこに求められる品質やレベルも高くなりますビジネススクールにはレジュメやカバーレターを添削指導してくれるスタッフがいて、いつでも何回でも見てもらうことができます

インタビュー練習

レジュメとカバーレターが企業の目にとまると、インタビューによばれます。だいたい30分から1時間の間で行われますが、面接官の聞かれる質問にはほぼすべて明瞭簡潔に答え、その上で情熱を見せる必要があります。

このレベルにまで来るには相当な練習が必要なのですが、ここでも学校のスタッフが助けてくれます想定問答集をすべて提供してくれるのはもちろんのこと、モックアップとよばれるインタビューの練習につきあってくれますその場で改善のためのフィードバックもくれますし、学生の姿をビデオに撮影して、受け答えしている姿を一緒に確認しながら身振り手振りといった仕草にまで改善の提案をしてくれます

とかくインタビューは緊張するものですが、学校スタッフが手取り足取り、伴走をしてくれますので非常に心強いです。

会社説明会の開催

すでに説明した通り、学校側は会社説明会も数多く開催してくれます。アメリカ中の名だたる企業を学校のキャンパスに呼んでくれますので、それら会社への応募に限っては、自分で出かける必要がありません。

本当によく集めてくるものだと感心するくらい、来る日も来る日も学校の教室で会社説明会が行われます。そのため、授業の合間に説明会に参加してネットワーキングすることもできますし、インタビューも合わせて受けることができるのです。

キャリアイベントの開催

会社説明会がひと通り終わると、学校側はさらにキャリアイベントを開催してくれます。このイベントには各社企業のリクルーターたちが一堂に集まり、ブースを並べて、その学校単独のキャリアフォーラムといった様相で行われます。

どこの会社もそこのビジネススクールの学生を採用する目的で来てくれていますから、非常に効率的です。もちろん会社側も将来幹部を採用するために真剣ですから、それほど簡単にオファーをもらえるものではありませんが、それでもこれだけのお膳立てがなされている機会など他になく、ここにも学校側の並々ならぬ努力とサポートを感じることができる機会となります。

卒業生の紹介

他にも、同じ学校の卒業生を紹介してくれ、ネットワーキングの機会をこれでもかと豊富に提供してくれます

MBA生にとっての就職活動は、お目当ての企業の「誰」を知っているかがポイントですので、卒業生のつてをたどることが非常に重要となります。もしMBAに通わずに個人で就職活動をしようとしても、どこも門前払いとなることが多いのはこのためです。

 

アメリカTop20具体例と体験談

海外MBAにはこのような強いサポートがありますが、実際に海外MBA取得後に、どのようなキャリアアップが可能か、ぼく自身の体験談と、友人たちの実例を紹介します

ここで紹介する例はすべて、日本からアメリカのビジネススクールに留学した日本人の例であることです。さらに、MBA留学前の職場は日系企業であった方たちなので、現在同じような環境で働いている人にも参考になると思います。イメージがしやすいよう、MBA卒業後5年以内のキャリアにしぼって紹介します。

ぼく自身の体験談

ぼくはもともと日系製造業で営業をしていました。完全に日本のカルチャーの中で仕事をしていたものの、グローバルなキャリアを積みたいと海外MBAに進み、卒業後はアメリカ企業でマーケティング職を手に入れました。その3年後に、日本の外資系企業で経営職についています。MBA在籍時代から、近い将来に経営職につくことを狙っていたので、ぼくなりにキャリアアップ達成です。

ぼくの友人たちの具体例

  • 日系証券会社→海外MBA→GAFAMのひとつ→スタートアップ
  • 日系メガバンク→海外MBA→外資戦略コンサルトップファームのひとつ→プライベートエクイティ
  • 日系eコマース→海外MBA→外資消費財→GAFAMのひとつ
  • 日系ITコンサル→海外MBA→日系製薬
  • 日系飲料メーカー→海外MBA→外資製薬→外資戦略コンサルトップファームのひとつ
  • 日系通信会社→海外MBA→日系商社

これらはほんの一例に過ぎませんが、海外MBAに行った仲間たちは、それぞれ思い思いのキャリアアップをつかんでいます。もちろん、社費で留学し、卒業後も会社にもどって、社内エースとして活躍し続けている人もおり、それら進路は千差万別です。

いずれにせよ、海外MBAを取得することで、「自分のキャリアは自分で作る」という姿勢を身につけている方がほとんどのように見えます。それがキャリアに関して海外MBAで得られる最も重要なことなのかもしれません。

 

【判断基準】海外MBA取得に迷ったら

ここまで、海外MBAを取得するとどのようなキャリアアップが可能であるか、その実例を紹介するとともに、キャリアアップ達成のために学校がどのようなサポートを提供してくれるかということについて説明しました。

これら具体例を目にして興味を感じた方は、海外MBAを目指したら良いでしょう。逆に、「私はMBAに頼らずとも自分でビジネスを切り開ける」という方には、海外MBAは必要ないともいえます。

よく「海外MBAは必要?それとも不要?」などといった議論を目にすることがあると思いますが、その問い自体に正解も不正解もなく、本記事で紹介した海外MBAの実態を読んだあなたが決めれば良いというわけです。

海外MBA取得に迷ったら確認したい判断基準

それでも海外MBA取得に迷ったら、以下のポイントを判断基準にしてはいかがでしょうか?

【判断基準】目当てのビジネススクールのホームページから、その学校の学生たちの就職実績を確認し、そこに書いてある企業で働く自分を想像する。

最初に触れた通り、海外MBAとは「就職学校」です。いわば、就職実績に記載されている企業にMBA幹部候補として入社することが海外MBAの大きな目的ですので、あなたが海外MBAに留学するということは、つまり、卒業後にそれら企業に就職して働くことを目指すことと、ほぼ同義であるということです。

いかがでしょう?ワクワクした方は、海外MBAを目指したら良いでしょう。逆にピンと来ない方は、海外MBAにこだわらず、あなたにとってより良い選択肢を求めたら良いでしょう。

 

【まとめ】海外MBAがキャリアアップのためにサポートしてくれること

本記事では、海外MBAがキャリアアップのためにサポートしてくれることとして、在学中の就職活動の実態や、学校側からどのようなサポートを得られるか、具体例や体験談をまじえて紹介しました。

海外MBAだけがキャリアの正解ではありませんが、迷った場合には学生たちの卒業後の進路として、各校が紹介している就職実績を確認してください。それら就職実績を見たときに、ワクワクしたらそこにフィットがあるでしょうし、逆にワクワクしないようでしたら、フィットはないかもしれません。

あなたが海外MBAを目指す際の判断基準として参考になればうれしいです。

 

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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