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【本レビュー】『異文化理解力』:グローバルビジネスに必須の教養

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これから益々ビジネスで活躍することを目指すあなたにおすすめの本。

今回は、エリン・メイヤー氏による「異文化理解力」です。

英語原書のタイトルは「The Culture Map (カルチャーマップ)」で、世界各国の文化の違いがビジネスに与えるインパクトや、どうやって異文化同士でコミュニケーションをとるべきかという内容が豊富な実例とともに書かれています。

エリン・メイヤー氏はヨーロッパを代表するビジネススクールINSEADで組織行動学を教えています。

ご自身はアメリカ人ですが、フランス人の夫をもち、授業や講演で様々な国籍の人を相手にコミュニケーションをとる中、この異文化理解力の大切さを感じているとのこと。

著者自身の経験談も紹介され、非常に分かりやすい内容です。

アメリカの経営者たちや、アメリカのトップMBA生たちに広く読まれ学ばれている一冊です。

こんな人におすすめ

・グローバルビジネスで活躍したいと考えている方

・海外支社や支店とのコミュニケーションに悩んでいる方

・外資系企業で勤めていて、本社や隣国メンバーたちとのコミュニケーションに苦労している方

・海外駐在をしていて、現地従業員たちとの関係構築に悩んでいる方

 

本の要約・ポイント

仕事で外国人とコミュニケーションをとったことがある人なら分かると思いますが、約束した時間ぴったりに会議が始まらなかったり、上司部下の立場関係なく議論をしていたり、日本のビジネス慣習からは驚いてしまうような場面に出会うことがあります。

実はそれら、日本人にとっては驚くようなものでも、本人たちにとってはいたって普通のことであるのです。

この本では、そういったビジネス文化の違いについて、最も重要な8つのポイントから分析しています。

異文化理解のポイント1:コミュニケーション

<ローコンテクスト vs ハイコンテクスト>

相手とコミュニケーションをする際、その背景にある文化や経緯について共有しないと意図したことが伝わらない可能性があります。

その際、そのひとつひとつを明確にしながらコミュニケーションをするか、それとも多少の含みを持たせながらコミュニケーションをするかといった違いがあります。

ローコンテクストと呼ばれるコミュニケーションでは、できるだけシンプルで明確な伝達が好まれます。

そこでは、メッセージの内容が額面通りに伝え、それがそのまま額面通りに受け取られます。

コミュニケーションを明確にするためならば、繰り返しも歓迎されます。

対して、ハイコンテクスト呼ばれる環境では、コミュニケーションは繊細で、含みがあり、多層的なものが良いとされています。

メッセージは行間で伝え、行間で受け取り、ほのめかして伝えられます。

ローコンテクストの典型がアメリカで、ハイコンテクストの典型が日本です。

アメリカ人は良かれと思って、なんでも明確にズバズバと言及しますが、日本人からするとそれは「空気が読めない」と受け取られることがあります。

ハイコンテクストな日本的コミュニケーションでは、婉曲な表現をすることが良しとされることが多いのです。

異文化理解のポイント2:評価

<直接的なネガティブフィードバック vs 間接的なネガティブフィードバック>

仕事をする上で、相手のパフォーマンスに対して評価をすることが必要になる時があります。

それは、勤務評価であったり、改善のためのネガティブフィードバックであったりします。

その際、直接的に伝える文化と間接的に伝える文化とがあります。

直接的にネガティブフィードバックをする文化では、率直に、単刀直入に、正直に伝えられます。

オブラートに包まれることなく、グループの前で個人が批判されることもあります。

こういった文化は、オランダやドイツといった国に見られます。

対して、日本やタイ、韓国といった国では直接的なフィードバックを良しとせず、間接的に伝えられます。

柔らかく、さりげなく、やんわりと。グループの前での批判はせず、1体1でのみ行われます。

こうした文化で直接的なネガティブフィードバックを行うと人間関係が壊れますし、逆に直接的な文化の組織で間接的にフィードバックをしても、その意図は伝わりません。

異文化理解のポイント3:説得

<原理優先 vs 応用優先>

重要なビジネススキルの一つに説得することがありますが、これも大きく文化に影響を受けています。

説得する際にとられるひとつが原理優先の思考法です。

最初に理論や概念、原理を検討します。

そのあとで、実際に起こっている事実を確認し、それらに対して発言や意見を提示していくといったやり方です。

この背景には、理論的な議論をもとに報告を行ってから結論へと移ることが好ましいと考えられているのです。

対してもう一方は、応用優先の思考法です。

これは原理優先とは異なり、先に事実を確認し、それに対する発言や意見を提示した後でようやく、それらを裏付ける概念や考え方を考察するといったアプローチをとるものです。

こういった場合、箇条書きを活用したり、要約やまとめの形でメッセージを伝えることが好ましいとされています。

特にビジネス環境で好まれるアプローチで、理論や哲学的な議論を避ける傾向にあります。

異文化理解のポイント4:リード

<平等主義 vs 階層主義>

良い上司や良いリーダーの理想像も、それぞれの文化によって良しとされているものが異なります。

役職にとらわれず、平等主義的であることを好ましいと考える文化では、上司と部下の距離が近いことが理想とされています。

理想の上司とは、組織内の人間関係が平等になるような環境を作り、自分自身はあくまでそのまとめ役。

組織はフラットですので、役職や序列を飛び越えてコミュニケーションが行われることも問題ありません。

反対に階層を重んじる文化では、上司と部下の距離が遠く、役職や序列に沿ってコミュニケーションが行われることが理想とされています。

肩書きが重要ですし、上司やリーダーには、最前線から強力に旗振りをすることを求めます。逆に上司には特別な敬意を示すべきとも考えられています。

異文化理解のポイント5:決断

<合意志向 vs トップダウン>

組織が決断をする際、その方法にも違いが見てとれます。

日本やスウェーデンといった国では、全員の合意が形成された上で決断がなされることが好まれます。

逆に中国やインドといった国ではトップダウン式が良しとされ、上司やリーダーの立場にある人が個人で決断をします。

日本の稟議書や根回しという文化は世界的に見ると特殊で、まさに極端な合意志向が現れているものです。

異文化理解のポイント6:信頼

<タスクベース vs 関係ベース>

社内外を問わず、ビジネスパートナーや同僚たちとの信頼関係を構築する方法も、文化によって異なります。

タスクベースで信頼関係を築く文化では、信頼はビジネスに関連した活動によって築かれます。

良い仕事をしていれば頼りがいがあり、信頼を感じてもられるようになります。

反対に関係ベースで信頼を構築する文化では、食事をしたりお酒を飲んだりしながら、ゆっくりと長い期間をかけて信頼関係が築かれます。さ

らに、仕事だけではなく個人的な時間も共有することで、その信頼関係はさらに深まります。

いわゆる日本の「飲みニケーション」もこれにあたります。

異文化理解のポイント7:見解の相違

<対立型 vs 対立回避型>

ビジネスをしていると、どうしても意見が食い違ったり見解が違ってきたりする場面があります。

そういった時にどうやって議論を進めたり解決を図ろうとしたりするのか。

対立型の文化では、見解の相違や議論はチームや組織にとってポジティブなものだと考えられています。

また、表立って対立することも問題なく、それが関係性を壊すこともありません。

逆に対立回避型の文化では、見解の相違や議論はチームや組織にとってネガティブなものだと考えられています。

ですから、表立って対立する子は好ましくなく、それによってグループの調和が乱れたり、人間関係にネガティブな影響を与えたりすることになり、回避すべきものととらえられています。

異文化理解のポイント8:スケジューリング

<直線的な時間 vs 柔軟な時間>

会議時間や資料の締め切り、そしてあらゆるスケジュールについても異なる文化間で相違があります。

プロジェクトを連続的なものととらえ、一つの作業が終わったら次の作業に進む、直線的な時間を大切にする文化があります。

ここでは一度にひとつずつ処理がなされ、邪魔が入りません。

締め切りが重要視され、スケジュール通りにものごとが進みます。

それに対して柔軟な時間を大切にする文化では、プロジェクトは流動的なものとしてとらえられ、作業は場当たり的に進められます。

様々なことが同時に進行し、途中で邪魔が入っても問題なく、むしろそれが柔軟で良いとされています。

ビジネスへの活かし方

ビジネスへの活かし方としては、自分が馴染みのある文化と、相手の文化とを、上にまとめた8つのポイントから分析をした、「カルチャーマップ」を作ることが推奨されています。

これを作ると、相手文化との違いが一目瞭然。

どこに違いがあり、どういったことに気をつけるべきかがよく分かりますので、あなたのビジネスが今までよりもスムーズに進むことになるでしょう。

カルチャーマップ:日本 vs アメリカ

たとえば、日本の文化とアメリカの文化を比べた場合のカルチャーマップは、以下のようになります。

こうしてみますと、どこが似ていて、どこが違っているのかがよく分かります。

たとえば、コミュニケーションにおいて、日本は極端にハイコンテクストであるのに対し、アメリカもまた極端にローコンテクストです。

日本人とアメリカ人がコミュニケーションに苦労する背景は、こういったところにあります。

また、リードを見た時、日本は階層を重んじますが、アメリカは平等主義です。

役職に関係なく、みんなカジュアル、誰とでもフランクに話し合えることがよしとされています。

しかし、それを日本で行うと、問題になるというわけです。

他にも、見解の相違があった場合、日本は対立を回避しようとしますが、アメリカは建設的に議論を重ねながら打開策を探ることを良しとします。

ですから、アメリカ文化を背景とする人とビジネスをする場合、しっかりと論理立てて対立する見解を評価し、その上で結論を導く努力をすると好感をもって受け止められます。

 

【まとめ】異文化理解力を高め、ビジネスに活用するポイント

このように8つのポイントをベースにすれば、異文化を理解し、コミュニケーションをスムーズにできることを学びました。

またその際、最後に示したようなカルチャーマップを作ることで簡単に理解をすることもできます。

その際、自分の慣れ親しんだ文化と、相手の文化との間で、どこが似ていて、どこが異なっているか、といった見方をすると良いでしょう。

グローバルビジネスにたずさわる人には必須の教養だと感じます。

 

 

 

アメリカのトップMBAを取得し、卒業後にアメリカ企業本社の幹部候補生として採用されたノウハウを紹介しています。

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ブログを引っ越しました。→https://presence-japan.com/blog/

現在、プレゼンスジャパン株式会社としてエグゼクティブコーチングを提供しています。

プロフィール
西原哲夫
西原哲夫
経営アドバイザー | エグゼクティブコーチ
慶應→住友電工→アメリカ駐在(25歳)→ノースカロライナ大MBA(30歳)→エマソン米国本社幹部候補(32歳)→日本エマソンGM(35歳)→ユーピーエス社長(39歳)→経営アドバイザー兼コーチ(今) | 2児の父親|アメリカ在住10年|表千家茶道学習者
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