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ケンペルの見た日本 (その4) :植物、動物、魚介類について

ケンペルの見た日本

植物について「日本人は勤勉であることから、植物についても、食用以外の用途で有効活用している。」とケンペルに言わせしめているあたり、日本人には、限りある資源を有効活用するための知恵と工夫、そして気質が長きにわたって根付いているようです。たとえば、桑の木。桑の実は食べられませんが、桑の葉っぱを蚕に与えることで、絹の生産につなげています。楮 (こうぞ) は紙になります。もっとも有名なものは、漆です。漆は、樹液が加工されて塗料となったものです。

お茶のもととなる茶の木、香辛料である山椒も有名であったそう。また、柿の木は日本中でよく見られたそうで、貧富にかかわらず、甘くなるまで干した干し柿は、みんなの大好物であったそう。栗の木やイチョウの木も全国いたるところに見られたようです。オレンジの木も多くあり、いろんな種類のものがあったが、中でも「みかん」というものが一番美味しかったとのこと。「金柑」は、酸っぱくてたまらない、と書かれています。

竹や松の木は何百年、何千年にもわたって生きるため、神聖なものとして、日本人は特別に好んでいたとのこと。檜や杉は質が良く、建築に使われていたようで、これはぼくたちが知っている通りですね。他にも、モミジや桐も紹介されています。

食用としては、五穀が紹介されています。当時の五穀とは、米、大麦、小麦、大豆、小豆。日本の米の質は世界随一のレベルであるとケンペルも認めています。大麦は主に家畜の飼育用であったとのこと。小麦はお菓子にのみ使われ、安価でした。大豆は味噌やしょうゆ作りに使われるだけでなく、オランダにも輸出されていたそう。

他には、大根、人参、きゅうり、かぼちゃ、瓜、などがよく消費されていたようです。ケンペルいわく、「大根はすごく臭いから、ヨーロッパでは誰も食べないだろう。」とのこと。へー、大根に臭いなんてありましたかね?

動物・昆虫について

まずは空想上の生き物から。馬の体と鹿の足を併せ持つ、麒麟。ドラゴンのような姿をしていて、海の底に住んでいる、龍。天国に住んでいると言われる、鳳凰。これらの生き物は、この世に聖人が生まれると、一緒になって現れるという言い伝えられていたそうです。その聖人たちとは、中国の孔子・孟子、インドのお釈迦様、中国の達磨、そして日本の聖徳太子だそうです。

現実の動物はというと、ヨーロッパでよく見られるような四つ足のものはなかなか見当たらなかったそう。たとえば、ロバ、ラクダ、象など。豚もいなかったようですが、中国人によって持ち込まれたとのこと。ただ、当時の日本人は豚肉は食さなかったといいます。そして綱吉の時代ですから、犬が特別な扱いを受けていたようで、お腹が空いていそうであれば食事があてがわれ、病気になれば看病され、死んだ時には担がれて山頂で埋葬されたそうです。タヌキやイタチやよく見られたようで、テンというタヌキのような動物がいたるところにいたとのこと。家の中で飼われることも多く、鶏や魚を捕まえていたそう。今となっては考えられないですね。テンなんて、聞いたことすらありませんでした。また、豚肉同様に、鶏肉も食べられていなかったようです。ということは、当時の日本人の主食は、野菜や穀物、そして海から取れる魚介類がほとんどであったということですね。

魚・貝類について

この食料として肝心な魚介類ですが、江戸時代にも「魚介:ギョカイ・ウオカイ」と呼ばれていたようです。もっともよく食べられていたのが、クジラです。一度獲れれば、大量の食料となるからです。熊本や対馬、五島列島、そして大村の近海でよく獲れたそうです。その方法としては、小さくて細くスピードの出る、10人乗りの舟に乗って、大掛かりな網にかけ、うまく捕まえたらいくつもの槍で刺し、陸まで引っ張ってきたそうです。

クジラにも種類がたくさんあり、セミ、アオサガイ、ナガス、ザトウクジラ、マッコウ、イワシクジラ、など。クジラの肉は余すところなく消費され、内臓や他の部位も、食べられるところはすべて食べられます。また、脂も取れたようで、灯りをともすために使われていたようです。

魚の中でも特別有名であったのが、フグ!そう、美食家の間で大変な人気があったようです。毒の処理方法も確立されていたようで、誤って死ぬなんてことはほとんど無かったそう。逆に、不治の病や老齢で死に際の人が、「最後の晩餐に」と言って、解毒処理をしないまま、フグを食べることがあったとのこと。鯛も人気があったようで、値段も非常に高かったとか。

その他、スズキ、サワラ、イトヨリ、カツオ、ウナギ、ハモ、イカ、タコ、ナマコ、エビ、カニ、アワビ、ハマグリ、カキ、サザエ、といったものも食べられていたとのこと。魚介類に関しては、現代のぼくたちが食べているものと、ほとんど変わりありませんね。クジラを除いて。

続きは次回。